008.訓練と言う名の人殺し⑵
昨日の夜は寝ることができず朝が来てしまった。考えるとおかしいが初めて人を殺す日なのだが、正直なところ今でも人は殺したく無いと考えている。カーテンを開けると空が暗い色から明るい青へと色を変えた。
「とうとう、この日が来たのか」
独り言を呟いた。その直後にチャイムが鳴った。恐らくカレンだろうが、こんなに早くくるとは思わなかった。もし起きてなかったらと考えると鳥肌が立つ。
ドアを叩かれ急かされながら用意を終え玄関から外へ出た。
視界に現れたのはカレンではなく凛恵だった。
「わ、航くん。昨日はごめんね。謝りたくて朝早く来ちゃったんだけど、迷惑だったよね帰るね」
謝って帰ろうとしていた凛恵を引き止めてしまった。
「こっちこそごめんな。その……」
「いいよいいよ!」
顔を赤くしながらそう言ってきた。一体何を想像しているのだろうか。
逃げるように帰ったしまったが、凛恵が居なくなったのを見計らってか今度こそカレンが現れた。怖い目つきでこう言った。
「行くわよ」
雰囲気的に他にもうちょっと言うことがあったと思うのだが、流石に突っ込める空気では無いのでかかる頷きただついて行く。
※※※
いつか行ったあの作戦本部についた。
ごつい男たちが作戦が書かれた紙がのっている円卓を囲んでいた。科学技術が進んだ今でも紙を使っているのはあらゆる角度からの情報漏洩を防ぐためだそうだ。
「作戦開始時間は4時から5時に変更するわ」
カレンが言った。理由を聞くとこの時間帯が一番利用者が増える時間だという、新たな情報が入ったみたいだ。
昨日から寝ていないせいでとてつもなく眠たい。時間もあるので寝ることにしよう。
※※※
「……たい…は……すこにしよう。これ……るいは…し………はずだ」
「……たる。わーたーる!」
なんだカレンか、それよりあの夢はなんだったんだろうかうまく思い出せない。何かわからないが大切な事のような気がしてならない。そんなことより、何故俺はカレンに膝枕をされているんだ。
「え、えっ!?ななな、なんで俺がカレンの膝の上に!?」
突然我に返ってしまった。
「気持ちよさそうに寝てたからつい」
目をそらしながら言ってきた。女の子の体って柔らかいんだな。なかなか経験できないことを経験できたような気がする。
カレンが目つきを変えて言った。
「切り替えて、これから始めるのよ」
「はい……」
※※※
場所は今でもよく利用していたショッピングモールだ。確かにここは人がたくさん集まる。しかも、今日は主婦が特に喜ぶ日なのでいつもより人が多いように見える。
子供以外は全て殺すとのことだったのだが、この目の前で親を殺すとはなんで残酷なことなんだろう。恐らく、一生忘れることはできなくなるだろう。これは自分たちのエゴなのかもしれない、だがやらなければならない。
作戦開始時刻が刻一刻と迫ってくる。
緊張や恐怖から心拍数が急激に上昇した。
作戦開始の合図とともに意識が飛んだ。
何故こんな時に、本当に俺はダメなやつだな。
読んでいただきありがとうございました。
先週は忙しかったため投稿することができませんでした。これからもよろしくお願いします。




