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006.装着



4月27日 土曜日 9時頃


起きてから4時間は経っただろうか。しかし、まだ布団の中にいた。


ピピピピッ。ピピピピッ。


突然、ほとんど鳴らないケータイから着信音がした。あまりにと突然で慌ててでた。


「はい、もしもし。どちら様ですか?」


凛恵以外の電話番号は登録されていないので間違い電話かないかだと思ったのだが。


「カレンだけど、今から港にある倉庫まで来てちょうだい」


なぜカレンが知っているんだ。教えた記憶はないが、そういえば全て調べ上げられていたのだから番号が分かってもおかしくはない。


しかし、なんてベタな秘密基地なんだ。


今から来いと言われても何も準備をしていなかったので、ゆっくりと準備をしてから家を出た。


※※※


1時間ほどかけて港へ向かい、何事もなく倉庫に着いた。


たしか、正面から二個目の中に入って、10歩歩き、20歩かけて戻る。

そこから半回転し海の方へと歩き飛び込む。


あれ?倉庫に入った意味あるのか?


バシャーンッッッ!!


苦しいいつまで潜っていればいいん……だ。

意識が遠のいていった。


※※※


「バカね。なんで気を失うまで潜っているのかしら。普通連絡掛け直すでしょ。変なとこ素直なんだから。初めてちょうだい」


目を開けると、光が眩しかった。

体を動かそうとしても全く動かない。

なんで、こんなことに。助けを求めるべく喋ろうとしたが口も塞がれている。


「ふふか、ふうおかよ!(誰か、いるのかよ!)」


一応叫んだがだれにも届かなかった。


「これより、IB装着を始める」


「……ッ!」


「起きてるぞこいつ!」


麻酔か何かが投与されているのは分かった。

それと同時に意識を失った。


「おい!起きなさい!」


ん、んん。カレン……か。今まで何をしていただろうか。意識を失う直前のことを思い出した。


「俺の体に何をした!」


嫌な予感がしたのですぐに質問をした。


「IB、イモータルブレイカーを装着しただけよ」


「I……B?なんだよそれ」


「人を殺す為の武器。それをあなたの体に埋めた。ただ……」


勝手に体を改造されたと知り、衝動に任せて叫んでしまった。


「ふざけるなよっ! 体に埋めただとっ!人の体に何を!」


「そんなことどうでもいいわ」


どうでもよくない。俺にとってはかなり重大だが、カレンには逆らえなかった。


「付いてきて」


体を動かせることに気づき付いて行った。


「ここはどこなんだ?」


「作戦本部ってところね」

言われてみると様々な資料のようなものが散らばっている。


「そ、そうなんだ。そう言えば、なんで俺に海潜らせたんだ?」


カレンを見てても目を合わせようとしてこない。


「い、いやー。まさか気絶するまで潜るとは思わなくてねー。アハハハ。潜らなくても睡眠薬で眠らせたから問題ないんだけどね」


「アハハハじゃない! それとこれって拉致だよな?」


目を合わせる気は無いらしい。

気がつくと扉の前にいた。


「着いたわ。さあ、入って」


突き飛ばされて入れられた。

文句を言っていると、IBの使い方の説明を始めた。


「特に、覚えることはないけど、一つだけ。イメージよ!」


イメージと言われてもピンとこない。

説明もなしに同行しろと言われても出来るわけがない。


「全部で3カ所。腕、脚、背中。この3カ所、形をイメージするの。イメージが強ければ強いほど、強力なキラードが使えるわ」


一番大切な頭が守られていないことに気づいた。


「頭にはないのか?」


「頭につけるとキラードに喰われる。まあ、精神ごと乗っ取られて自分が自分じゃなくなるってっこと。体でも集中してないと喰われるかもしれない」


勝手に着けられた挙句、危険まで負わされていた。


「その為の訓練よ」


※※※


もう何時間が経ったのだろうか。

あまりにも体への負担が大き過ぎた為もう体が動かない。3ヶ所に装着したのも1人目だったという。

これじゃあ、ただのモルモットじゃないか。


「か、カレン。体がもう動かないんだけど」


「それもそうね。今日はここまでにしましょう」


今日はということはまた明日もやるという遠回しな言い方だ。


「ああ、忘れていたわ。一度体が動かなくなるのは体に馴染んだ証拠だから訓練はもうないわよ」


これで終わりだと思うと、一気に疲労感が襲ってきた。


しかし、これで終わりなわけがない。まだ、序章の序章に過ぎない。


読んでいただきありがとうございました。

次話もよろしくお願いします。

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