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005.記憶と決意

土曜日 早朝


今週は色々なことがあって疲れていたのでまだ寝ていたいという気持ちがあったのだが、それとは裏腹に体はすっかり起きてしまっていた。

しかし、体は起きていると言っても気持ちがついてこないそのせいで、何かをする気力が全く出てこない、ベットから起き上がることさえも。


「ああ! 何にもしたくねええ!」


思わず叫んでしまった。


俺はベッドの上で寝転がっている。

寝転がりながらすることもないので、ただの気まぐれで昔にあったであろうことを考えていた。


正直なことを言うと小さい頃の記憶はほとんど無い。だが、幼い頃から近所に住んでいた凛恵とは家族絡みで付き合いがあったということは事実で間違いない。


けれど幼い頃に両親を2人とも亡くしてしまったのでどうして家族絡みで付き合い始めたのかもう知ることは出来ない。


その後、祖父母の家で暮らしていたのだと思うが俺が中3の時に事故で亡くした。


不幸なことが続いていたが、幸い1人でも暮らせるようにおばあちゃんからは家事全般を教えてもらったので生活を送る上で問題はない。


しかし、一番困るのは金銭的な問題だ。

だが、叔父を名乗るものが毎月お金を仕送りしてくれるとのことで問題は解消された。


一人暮らしをする事もあり、遊べなかったので時間の合間を縫っては勉強に明け暮れた。

あまり元が良くないのか、成績はある程度のところで止まってしまったのだが、高校には受験戦争を勝ち抜き合格することができた。


元々住んでいた町にある学校に通うため地元に帰った。つまり凛恵の家の横に帰ってきたのだ。

偶然なことに凛恵もこっちの学校に通うとのことだったので久しぶりの再会を果たした。


※※※


入学式当日は高校デビューと言えば、どのタイミングで薬を飲むかの話で持ちきりだった。


だけど俺はおじいちゃんから言われた言葉があった。記憶が曖昧で本当かは分からないが、本当だったと信じている。


前の席の男子がその話を俺に振ってきた。

俺は、はっきりと答えた。


「薬は飲まないで生きていく。そして死ぬ」


この言葉に驚いたのか目を丸くしていたことははっきりと覚えている。

俺に声をかけてきた男子にその日の放課後何があったのかは知らないが、あの短い会話以降話していない。


そう、両親も祖父母も死んだ凛恵の両親も。つまりはだれも薬を服用していなかったということ。


薬を飲んで入れば今も生きているはずなのだから。

だが、なぜ飲んでいなかったのかも知ることができない。失うということはこれが怖い。何も知ることができなくなる。知識を得られないこと以上にもどかしくなることはない。


もし、自分が将来誰かの父親になったのならこんな話をしようと思う。


「我が愛する息子よ。少し話をしようか。きっと君に近い将来起こる、もしくは遠い未来誰かに話す時に少し思い出してくれるだけでいい。今は覚えていなくても迷ってる人がいたら思い出して欲しい」


何故かは分からないが言葉が頭の中を流れた。


昼はなぜ空は青いのか。それは、産まれたての赤ちゃんが澄んだ目をしているから。


太陽はなぜ赤いのか。それは、今までたくさんの人が血を流したから。


夜はなぜ暗いのか。それは、人に悪い心が芽生えたから。


星はなぜ光るのか。それは、人が生きているから。


人はなぜ死なないといけないのか。それは、人が人であるため。それて、次の世代が前へ一歩ずつ進んでいくため。


だが、多くの人が死ぬ。悲しい思いもする。辛い思いもする。けれどその分、喜びもある。


人が死なない。悲しい思いはしない。辛い思いもしない。そして、喜びさえも薄れてしまう。


しかし、道を選ぶのは君次第だ。


          ※※※


しかしながら、子供に言うような適当なことしか言っていない。

太陽で多くの人の血が流れているのは間違いない。でも、太陽はなんでも葬りされる。死なない罪人であろうとも完全に消すことはできなくても耳は聞こえず匂いはせず視覚もない。感覚のなくなる場所最も死に近いところなので罪人はそこへ連れて行かれる。言わばごみ捨て場のようなものだ。


そして、俺が選んだのは……、人類を元に戻す、死ぬようにするという第3選択を選ぶことにした。


これが始まりに過ぎないことをこの時すでに悟っていた。





読んでいただき、ありがとうございました。

こちらの都合で2週間休載してしまい申し訳ございませんでした。これからは週一のペースを目指して掲載させていただきますのでよろしくお願いします。

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