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004.転校生

テロリストのメンバー。いや、リーダーになってしまった日から2日空いて月曜日。何事もなかったように平然と学校へ向かう。誰も知らないとはいえ、学校へ行くのは少し辛い。


通学路の途中、後ろから走ってくる足音が聞こえてきた。


「お、おは……よ。航くん。」


息を荒げた凛恵がやってきた。

何故ここまで慌てていたのだろう。


「お、おはよ。凛恵。なんでそんな慌ててきたんだ?」


ゼェゼェと荒い息使いだったので凛恵に質問をした。



「え、なんでって……。航くんと……な、なんでもないっ!」


何かを言いかけたがなんでもないと言ったのであまり気にしないことにする。でも、やっと普通に話せるようになってよかった。


「ふーん、それならいいけど」



         ※ ※ ※


ホームルーム


なんで、テロリストのリーダーなんかになったんだろうとずっと悩んでいたが、半ば流れでやらされた感じがあった。

なってしまったものは仕方がないが、これからどうしたらいいのか、悩みどころではある。


日差しがとても強く外には陽炎ができている。鶏肉を置いておくとこんがりと焼けそうなくらいに。


ホームルーム最初の連絡は転校生が来るということだ。なんでわざわざこんな時期にとも思うが、女子であると聞いて、内面少し期待していた。


「カレン・インルージュさん。来てください」


そんな期待はすぐに裏切られた。

なぜならドアを開け、そこに入ってきたのは昨日俺のことをリーダーにした張本人であったのだ。まあ、確かに可愛いことは可愛いんだが、テロリストだと知っている俺はカレンがここへきたという事実を受け入れたくはなかった。

元からここに居場所があるわけではないが、自分のテリトリーへ入られるのはなんとも言い難い。


「なんでお前が!!」


そんな気持ちとは裏腹に思わず声を出してしまった。

そのとき、クラス全員の視線が自分へと向いた。


「あ、航くんもこの学校なのね!」


なんで俺の名前を。あ、あの書類といい、俺のことは調べ尽くされているのか。そんなことは分かりきっていたことなのであまり気にはならなかったが、周りの男子たちからの視線が痛い。


「「「「ちっ」」」」


ハモって舌打ちしやがった!


「なんでお前ばかりこうなるんだよゴミのくせに」


もともと、クラスで浮いていた俺には最悪だった。こんなことが理由でここまで目立ってしまうとは思ってもみなかった。


一つ前の席から声がした。声の主は凛恵だ。


「航くん。あれ誰なの?」

凛恵が睨んだような見て来るのでとてもこわい。ここまでこわい顔は見たことがなかった。


「え、えーと、なんて言うか……」


言葉に詰まるとカレンが割って入ってきた。


「私の許嫁よ」


いつ俺が許嫁になったんだよ!

もう最悪の展開だ。自分が考えることすらできなかった最悪の状況になった。


「「「「「ちっ、ゴミの分際で」」」」」


まただ。なんで、身に覚えのないことでここまで分かり周りから言われなきゃいけないのかは分からない。


「な、何言ってんだよ!」


あー、終わった。楽しく行きそうだった学校生活が2週間もしないうちに終わった。元から終わっていたのだが、完全なる終わりを迎えたと俺は確信した。


「航くーん。私というものがいながらなんなの? 死にたい? 殺してあげようか?」


凛恵が怖いことを言ってくる。それもなんども。


「マジにしか聞こえないからやめてくれ!」


目は本気のままだった。このままいくと俺の人生さえも終わりかねない。


「うるさいです。静かにしてください。」


担任教師のその一言で命が救われた。

感謝してもしきれない。


         ※ ※ ※


放課後 校舎屋上


「ねぇ、あなた。航くんとどんな関係なの?」


凛恵が言った。


なんでこうなったかと言うと。

クラス全員が帰った後、凛恵がカレンのことを引き止め屋上に連れ出したからという簡単な理由であるが、状況はかなりまずい。


「あの時話たことは、もちろん……」

「嘘だよな!」

カレンが何かを言いかけた時に被せるように俺が割って入った。そうしないと死んでしまうような気がしたからだ。


「本当よ」


殺されないために言ったことだったのだが、カレンが言ったことを凛恵はすぐに信じてしまった。


だが、さすがの俺も少しイラっときた。

身に覚えのないことで勝手に巻き込まれているからだ。カレンのいるテロ集団でリーダーやってるとは言えないが。


「ふざけるなよ! 俺はお前と昨日会ったばっかなんだぞ!」


俺の話を無視して、続けているのに気づき叫んだ。叫ぶしか方法がなかった。


「おいっ!俺の話を聞けよ!何勝手に意味わかんない話進めてんだよ!」


「「航くん(航)は黙ってて(黙っていろ)!」」


「はい、すいません」


なんなんだ。なんでこうなった。


「もうやめてもらえません?」


殴れた。昨日殴ってきた奴らよりも遥かに強いパンチだった。意識が朦朧とする。あー、もうだめだ。


・・・


「あ、あのー。なんでここにいるんですか?とゆうかなんでこんな状況に!?」


何故かは分からないが、カレンに膝枕をされた状態で目覚めた。


「殴ったら気絶したのよ」


そうか、それで気を失って。


え?


「なんで殴ったんだよ!」


この質問には凛恵が答えてきた。


「うるさかったからだよ」


「酷いな」


俺は理不尽な暴力に見舞われたらしい。


「すぐに黙ればよかったんだ」


殴った張本人がそう言ってきた。これからこんなことが続くと思うと気が重い。

こんなのもう嫌だ。そう思ってしまう長い1日だった。

読んで頂きありがとうございました。

今週は忙しかったため書くことが出来ませんでした。2週間なろうではおやすみさせていただきます。pixivのほうでは投稿する予定です。

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