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003.変化


入学式は金曜日だったので2日間空いての登校になる。

当日は色々とあって曜日を忘れていたので、朝起きて学校へ行くと校門が開いておらず家へ帰ったということは、秘密にしておこうと心に決めた。


「わーたーるーくんっ!」


小学生かと疑う行動をとる凛恵がゆっくりと朝飯を食べている時に来た。


時計を見るとまだまだ時間はある。

でも、凛恵を待たせるのも悪いので急いで支度を済ませ外へ出た。


凛恵が笑顔で待っていた。


「おはよう、航くん!」

「お、おはよう」


この会話も随分としていなかったので少々照れながら返した。


今日は、気温が34度まで上がるらしい。

気になる理由は分からないが、こんなに暑い春を自分は経験したことがないような気がする。


「航くん、どうしたの?」

顔を覗き込むようにして聞いて来た。


「い、いやなんでもない」

「ふーん、それならいいけど」


やはり会話が続かず、教室に着いてしまった。

中からは楽しげに笑う声が聞こえてくる。

こんなに明るいクラスなら大丈夫だな。

少しの勇気を振り絞って扉を開けた。

それと同時に空気が凍りついたかのように静かになった。


「お、おは……」


入学式の日に話した亮が目の前まで歩いて来てこう俺に言った。

「もう、僕たちには関わらないでくれ」


クラスの空気は何もなかったかのように元へ戻った。いや、俺が空気になったのか。


凛恵に袖を引っ張られ人があまりいない場所を見つけるとそこへ連れていかれた。

「航くん。昨日どんな話をしたの?」

「どんなと言われても……不死薬を飲まないって話はしたけど」


凛恵の顔色が変わった。


「薬を飲まない人達を異端視する人達がほとんどなんだよ。それぐらいなんでしらないの?」


何も返せない。本当に知らないから。

なぜこの時代のことを俺は何も知らないんだろう。ますます謎が深まっていくばかりだ。


「ごめん。凛恵今日早退するわ」

「なんで、航くんが謝るの?ここで逃げちゃ悪くなるばかりだよ」


登校2日目にしてこんなこと言われた人の気持ちがわかるわけがない。


「凛恵なんかにわかるわけないだろ!」

顔を上げると、そこには涙目になっている凛恵がいた。なんてことを言ってしまったのだろう。走って行ってしまった。


異端視されてると言われたけど、それをかばうような行動をした凛恵はどうなる?

俺のせいでこんなことにまきこまれるのか?

俺のせいで、俺のせいで…………。


もう帰ってしまおうか、だがせっかく庇ってくれたのに、なら今はこの状況に立ち向かうしかない。何か変わるかもしれない。


教室へ戻り席へ着いた。


放課後


「ねぇ、君航くんだよね?」

クラスにいた目つきの悪い3人組に囲まれた。

「ちょっとこっちへ来てくれないかな?」

人気のない場所まで連れていかれた。


「おとなしく従わないと、凛恵って娘にも酷いことするからな?」

なぜこいつらはこんなことをするんだ。

俺が異端者だからなのか。わからない。

わかりたくもない、人の気持ちなんて知りたくもない。辛くなるだけだ。もういや……。


殴られて気を失っていたのだろう。

気が付けば空はもう暗くなって星が出ている。


「あー、なんでこんなことになったのかな」

そういえば一番凛恵と話せたかもしれない。


これから2週間は淡々と苦痛に耐えるだけの日々だった。


そして、4月24日の放課後。いつもの3人組に暴力を振るわれたあと、カレンに出会った。

読んでいただきありがとうございました。

今日はお祭りの花火の音を聞きながら書いていてとても寂しくなりました。次回もよろしくお願いします!

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