020.未来の為に
周囲の様子を見ると過去へ来たことはすぐにわかった。空は明るくそして蒼かった。太陽の光がとても懐かしく感じる。芝生の上を少しの間2人で歩きその後家へと向かった。
「覚悟はできてる?」一応そう聞いた。
「ええ、もちろん」
過去を変えるということは未来を変えることつまり、ここで研究している者を殺す事によって生まれてくるはずの命が生まれないかもしれない。そのIFの可能性を摘むことになるそれを背負うことができるのか、だが、カレンは覚悟が既に決まっていたようだ。
家の前に着いた。
「カレン行くよ」
ドアの横についているボタンを押した。すると少し高い音がピンポーンと鳴った。俺の知っている記憶にはこのようなものは無かった。このような些細なことが過去にきたことを改めて感じさせられる。
「はい?」男の人の声が聞だ。そしてドアが開きそこから顔をのぞかせた。
「あの。神崎さんのお宅ですか?」
「はい。そうですがなにかようですか?宗教の勧誘とかなら結構です」
「いいえ。違います。少しお話がしたいだけです」流石にまずいだろうか。
「そうですか、今鍵を開けますので、ちょっと待っていてください」
まさか本当に開けてくれるとは。
「どうぞ。随分とお若いですね」
なにを思ってそう聞いてきたのだろうか。
「まだ16です」
これが俺の家か。思わずキョロキョロしてしまう。その間にも男は話している。そこに突然カレンが割り込んできた。
「率直に聞きます。あなたは不老不死について研究していますか?」
おいおいおい。率直に聞きすぎだろ!
「な、なんのことでしょうか」明らかに今のカレンの発言で動揺を見せている。
「どうしたー?神崎。」もう1人の男が現れた。今まで話していたのは父さんだったのか。初めて父さんに会ったもっと話がしたかった。でも、未来を変えるって決めたんだ。
決意しただろ。自分の親を殺すなんて考えたくもない。でも、でも。
「あなたがたには、死んでもらいます」
「「は!?」」2人の表情が一瞬で変わった。俺たちが本気だと気づいたのだろうか。
「ま、待て!俺にはムスコがいるんだ!」俺の父さんがそう言った。
「父さん、すまない」
※※※
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。父さん。ごめんなさい。こんな最低な息子でごめんなさい。自分で殺ってしまったのに頭の中が真っ白でないも考えられない。
全ては、世界のためなんだ。そう思っても受け入れたくない。こんなこと。横でカレンも泣き崩れている。そっとカレンの肩を抱いた。
「大丈夫。大丈夫だから」この悲しい気持ちがなくなるまでずっとそのままでいた。
※※※
そろそろお互い落ち着いたところだろうか。終わりはこうもあっさりだなんて、終わった気がしない。自分で殺めたことも受け入れたくない。
「カレン。お互いには殺せないのか?」何の考えもなしに聞いてしまった。
「無理よ。IBは所持しているもの同士は効果がないもの」そうか。背負わなきゃいけないのか。
「この世界での私は生まれないのね」突然カレンが口にした。言葉の意味を理解することができなかった。
「な、なんで?」
「私が殺した方は、私の祖先なの。まあ、見たこのはないから。よくはわからないけど」そんな、でもカレンが消える様子は全くない。それならよかった。カレンを失うことがなくて。
「よかった。カレン俺と一緒に一生添い遂げてくれませんか?」改めて告白じみたことをするなんて結構恥ずかしい。違う。これプロポーズか。なおさら恥ずかしくなってきた。
「ええ、もちろんよ」よかった。無理とか言われなくて本当よかった。
「ありがとう。カレン」
読んでいただきありがとうございました。
とうとう残り1話となってしまいました。少し寂しい気もします。次回は来週の月曜日に投稿する予定です。




