017.忘れてしまっていた過去
目を覚ましたのだろう。周りの音が耳の中へと入ってくる。少し気を失っている間に何か会ったのだろうか。恐る恐る重いまぶたをあげる。天井が見えた。白い天井には明かりがあり所々消えているがはっきりと見える。
起き上がろうとしたが、体が固定されているようで動くこともできない。口は塞がれていないようだ。あの時、うまくは思い出せないけれど何か光のようなものに包まれて気を失った気がするのだが、やはりうまく思い出すことができない。なんというか、頭に霧がかかっているかのような感覚だ。気持ちが悪い。念のために、唯一動かすことのできる頭を持ち上げて、辺りを見回したが壁一面真っ白なだけで何も見当たらない。
しばらくすると、壁の一部が取れたような感じに開いた。その先から出て来たのはあの時の仲間であっただろう人物だ。
「こいつ、目を覚ましたのか」
いかにも偉そうな顔をしている。
「記憶はあるか?」
そう聞かれたのだが、思い出そうとしても霧がかかっていて思い出せないので。
「いや、何もわからない」
すると男は「よし」とだけ言った。何がよしなのかは見当もつかないが、反抗しようと思っても分が悪い。
男は部下らしき人たちを呼び俺の拘束を解いた。
「着いてこい」と男に言われたのでただ従うことにする。
どこかへ移動しているのだろう。しかし何か頭の中で引っかかる。大切なことを忘れているような。大切な人……。喉まで出て来ている。何か思い出せそうで、そんな気がする。
目的地に着いたのだろうか。男は止まった。
「今からこの世界の現状を説明する」
男の話を要約すると、不死の開発者の息子である俺を祭り上げ世界に対して戦争を仕掛け、この地球を征服したと。しかし当然のことながら反発は強く今も世界のどこかで戦いは生まれそして終わることを繰り返しているのだとか。でもなぜ、世界を征服したんだ。
その疑問と同時にあの言葉名前は出てこないが彼女に言われた言葉。その言葉が脳裏によぎった。だから、か。(全てを元に戻すため)そのために、過去へ行かなければ。
「なんで征服したんですか?」
恐る恐る聞いてみたが答えはない。話す気は無いのだろうか。
「外を眺めながらお前に話す時間は終わった。こいつを部屋に連れていけ」
その後部屋に着きやることもないので眠ることにした。
その晩俺は夢をみた。あの言葉を伝えてくれた女の子と、もう1人の女の子。忘れていたなんて、最悪だ。それと同時に全てを思い出した。
俺は416年前に早宵市早宵市に産まれていた。どうりで親がいないはずだ。そこで俺は実の父親の実験台となっていた。不死の薬の開発実験。それが完成しそのせいで不死の薬は世界中に出回った。とあるが実のところはもう1人のの実験台がいた。被験者002の名は凛恵だ。そうあの死んでしまったはずの凛恵である。実験中暴走し、人々を噛んで噛んで噛みまくった。映画でよくあるゾンビのように。結果世界中に蔓延したのだ。それが100年経ったくらいに鎮静化した。不死の人間として元に戻った。噛まれた時に組み変わってDNAに対応できなかったものは死にで来たものだけが生き残った。これが事実である。その後、俺は記憶を消され、心とかのケアのために凛恵が作られた。そして、早宵市にある家の地下には作られたタイムマシンが眠っているはず。それに乗って過去を変え、現代を良いものとするために。だからまずはカレンを助け出す。
読んでいただきありがとうございました。今回から3章へと入りラストが近づきてきました。最後までお付き合いお願いします。