012.儀式
凛恵が死んでから1ヶ月が経った頃だろうか、あの日以来誰ともあっていない。会いたくないわけじゃないけど、凛恵は誰にも会うことができないのに対し俺は会おうと思えば誰にだって会える。相手からどう思われていようと。その事があり、家から出たくなかった。
唯一あった人といえばカレンくらい、毎日慰めに来てくれていた。ご飯を作ってくれて、あんなひどい口調だったのに俺に気を使ってくれていたのか、優しい声だった。そんなカレンにいつからか……。
そして、ちょっと前に連絡があった。
儀式が執り行われると。流石にこれ以上は凛恵の為にも家に閉じこもっていられないと作戦に参加した。作戦決行日はあの日から30日後。つまりは6月の11日今の世界は簡単なことに月30日で回っている数えやすくていいものなのかもしれないが、この世界を肯定しているような気分になるのであまり考えないようにしていた。
そして今は、不死神ガーラクラッダーとかいう神に捧げる儀式のようなものを見せられている。この表現はおかしいかもしれないが見たくもないものを見ているのだからそう言ってもいいと思う。
「何しているのかしら」
とカレンが言った。
祭壇のようなものの前に様々な道具のようなものが並べられている。そこに抵抗を続ける男が一人連れてこられた。その後には女、子供、お年寄りまで年齢性別など遠くから見てわかる範囲でだが、強制的に連れてこられたことくらいはわかる。
「これから何をするつもりなんだろうな」
俺はカレンにそう問いかけたが、真剣に見ているのか返事が返ってこなかった。
そうこうしているうちに、儀式が始まった。
まず一人目は心臓を抉り取られ、二人目は肺を取られ、そこにいる人の数は恐らく臓器の数なのかもしれない。これ以上は考えるのも嫌なくらいだ。男女共にいるのはこの神は男でもなければ女でもない、そして年齢という概念さえも、だからこそここまで年齢層がバラバラだったのかもしれない。
「儀式を偵察をしに来てどう思った?」
聞いたのがバカだと思った。そんなの決まっているからだ。
「許せないわ」
カレンは俺が見たこともないような顔をして言った。
「俺も同じだ。まず手始めにここの奴らをつぶすぞ」
偵察をしに来ていたはずなのだが、感情に任せ攻撃をした。
「手応えなし……」
あまりにも抵抗がなかったので5分もしないうちに全てが片付いた時、その臓器の場所どうりに置かれていたと思われるのが、一瞬のうちに消えた。
「世の信者をよくも殺してくれたな。老いた少年と若い少女よ。御主名前はなんというのだ?」
「俺は神崎航だ」
「貴様ではない。女の方だ」
カレンは一度鋭い目つきで睨んだ後、答えた。
「カレンよ」と一言だけ。
しばらくの沈黙が続いた後、現れたやつ。そう、何処かで聞いたことのある。
「墓場……」
その言葉に対しやつは。
「おお、覚えていたのか」
笑っているのか幼そうな顔を歪めている。
「しかし、月一で我が信者にちからを与える日だったのだが、殺されてしまっては仕方あるまい。御主らを殺すための力として使おうではないか!」
カレンと俺対やつとの戦いが幕を開けた。
今回も読んでいただきありがとうございました。
次回も月曜日に更新すると思いますのでよろしくお願いします