わかりづらい
調べれば調べるほどワケ分からなくなる日本語。
まるで虹色(または漆黒または白)の輝きとともにグニョグニョと形を変える、不定形なことで有名なアレのようです、アレ。狂気山脈にいる地下鉄なみにデカいアメーバ。
テケリ・リ、テケリ・リ
ええっと、不吉な鳴き声は放って置きまして。
今回は四つ仮名に纏わる愚痴です。
四つ仮名とは、
「じ」「ぢ」「ず」「づ」
の四文字の事。
これの使い分けが、メンド臭いような、メンド臭くないような……ちなみに不定形なアレはすごく臭くて「玉虫色の悪臭」という異名もあるそうですが、某ライトノベルでメイドになっている時はどうしているんだろう。
いやいや、メイドも放って置きまして。
同じ発音なのに「じ、ぢ」「ず、づ」と仮名が二つあるのは、
「い、ゐ」「え、ゑ」と同様に昔は発音が違ったから、らしいです。
それをまた例のごとく国のお偉い方々が整理して、現代仮名遣いを優先して使おうぜ! という事になりました。
「じ」「ず」の方が基本優先です。
ですが「ぢ」「づ」も使われますね。
これは下の二つの場合のみに許される「特例」という扱いのようです。
【①同音の連呼】
語の中で「ち」「つ」の音が続いた場合
・縮む(ちぢむ)
・続く(つづく)
・鼓(つづみ)
などですね。正直数は少ないかと。
【②二語の連合】
「ち」「つ」の前に語がついて「ち」「つ」が
濁った場合。これを連濁というそうです。
・鼻血(はなぢ)
・底力(そこぢから)
・小包(こづつみ)
・近付く(ちかづく)
・わかり辛い(わかりづらい)
など。連濁する元々の言葉を考えると分かり易いですね。
血(ち)、力(ちから)、
包(つつみ)、付く(つく)、辛い(つらい)、
が濁るわけですから。
んで。これで終われば話はシンプルなのですが、
何事にも例外が付き物なのです。
上の二例自体が現代仮名遣いの例外だっていうのに……
【①の例外】
・著しい(いちじるしい)
・無花果(いちじく)
……多分、コレだけ。
文化庁さんはコレだけだって言ってる!
【②の例外】
探すとまだまだ有りますが。
・稲妻(いなずま)
・融通(ゆうずう)
・世界中(せかいじゅう)
……などなど。
妻(つま)、通(つう)、中(ちゅう)
が濁るのに何故「づ」「ぢ」表記にならないか、
という疑問が湧きますねえ。
人妻は(ひとづま)なのに。
これは「二語」の連合と解釈されるかどうかの問題のようです。
人妻は「人(ひと)」+「妻(つま)」
と分解しても、色っぽい熟女が連想されますが、
稲妻の「稲(いね)」+「妻(つま)」
は、分解してしまうと雷光が連想されません。
よって稲妻は
「一語」として初めて意味が通ると解釈され
【②「二語」の連合】には当たらない、
すなわち「ぢ」「づ」の適用範囲外と
されてしまうみたいです。
融通、なども同様と思われます。
でもね、この【②の例外】については、
「じ」「ず」の表記が本則だけど、
★「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする★
(現代仮名遣いに関する内閣訓令及び内閣告示)
とか中曽根総理が、1986年7月1日に告示しやがって、とってもワケが分からなくなっております。
……ショゴスに喰わせたろか。
あと悩むのは歴史的仮名遣いがらみですね。
「すこしづつ」「いづれ」「さかづき」
「うなづく」「つまづく」「ひざまづく」等
の中の「づ」は全て旧仮名遣いであるとされ、現在は「ず」で表記されるのが原則です。
助詞などはともかく、名詞や動詞は語源を考えると【②二語の連合】が適用されそうなものですが、
現在では二語に分けた時の意味が連想出来ず、
また「盃・杯」「頷く」「躓く」「跪く」と一語表記で書ける事もあって、現代仮名遣いの「ず」が適用されるみたい。……でもね、これも
★「ぢ」「づ」を用いて書くこともできるものとする★
(現代仮名遣いに関する内閣訓令及び内閣告示)
ああ、もう! 不定形極まりないわ!
カモーン、ショゴス! ヤっておしまい!
……SAN値チェック……0/1D4……………
ええと、なんでこんなにSAN値削ってまで調べていたかというとですね、
拙作の中で「ぬかずく」という言葉が使いたかったからなのです。
私は当たり前に、
「額(ぬか)」+「突く(つく)」
だから「額づく」だよね〜と思っていたのですが、辞書は「額ずく」になっていてタマゲました。慌てて調べたら、この四つ仮名問題が出て来た次第。
辞書も内閣告示も「ぬかずく」なんですよねえ。「頷く」みたいな一語表記も出来ないのに。
どうも「額」の(ぬか)という読みが一般的ではないのが敗因みたいです。それで【②二語の連合】適用外になるんでしょうね。「額田王(ぬかたのおおきみ)」とかあるやんけ。
困った時の常套手段である、「ルビ無し漢字表記」に逃げようにも、それだと
「額突く」か「額衝く」
になってしまって、あんまり好きじゃないんですよね。なんか床に頭ゴンッて感じ。勢い良すぎてタンコブ出来そう。静かに礼拝する様が書きたいので、風情がなさすぎるのです。
でも大正義「額ずく」はワタシ的に違和感バリバリだし……
この国語ノートシリーズで一番文字数を浪費した割には、まだ決められずにいるのでした。「ず」にするべきか、「づ」にするべきか……ああもう、どうしよう……
テケリ・リ
あれ? どうしてこっちに向かってk
生き残っていたら、次話に補足があります。