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なめらか

我が心の師、泉鏡花先生が嫌った表記として『豆腐』の文字が有名です。

あんなに白くてスベスベで綺麗なのに『(くさる)』とは何事か!

とお怒りで、ご自分では『豆府』と表記を変えていらっしゃったとか。

豆腐自体は大好物だったようですが。


確かに腐る、はないですよね。誰が考えたんだろう。

納豆の方がよっぽど腐った感が特盛りなのに、文字は普通なのが不思議。


調べると、もともと中国では「腐」には「腐る」という意味はなく「ブヨブヨしたもの」という意味があるらしいです。豆で作ったブヨブヨだから「豆腐」という事らしい。

そして「納豆」はお寺の台所(納所)で作られていたから「納豆」なんだと、『本朝食鑑』という書物に書かれているそうな。

どっとはらい。


んで、何が言いたいかというと、生意気な事に私にも、師のように気に入らない表記があるのです。


それは『滑』。


(なめ)らか、(すべ)る、(ぬめ)るの字ですね。

私結構、作中で多様します。が、これがモヤモヤするのです。


「サンズイ」に「ホネ」。

漢字の成り立ちとしては、「骨」の「月」以外の部分は関節を表していて、「月」の部分は肉の意味。……リブ? いや手羽先?

骨付き肉というよりは、肉付き骨のイメージらしいです。

そしてサンズイは言うまでもなく水。

関節が水のようにスムーズに動く、イコール「なめらか」という図式らしいですが。


……ちょっと三マスほど穴掘ってロバの耳して良いですか。

掘り掘り掘り。


   水に肉付き骨って、

   それどう見ても水死体じゃない!

   それも腐乱して、やや白骨化した、

   あかんヤツでしょ!

   そりゃあね、

   (なめ)らかで(すべ)って(ぬめ)っているでしょうよ!

   ある意味的確にイメージ出来るけど!

   気持ち悪いんじゃ!


埋め埋め埋め。

……ふう、スッキリ致しました。


というワケで、私は師のように代替えの漢字が思い浮かばない浅学非才の身ですので、我慢して「滑」の字をそのまま使用しているのですが、

どうしても、どうしても我慢ならない時は平仮名表記に逃げてます。

形容する対象が骨のある生き物(人とか動物とか)ならまだ良いんですが、無機物や骨の無い生き物に「滑」の字を使うのは勘弁ならん時があるのです。

表記揺れスミマセン。


ちなみに我が心の師は、潔癖症で有名でした。ナマモノは気持ち悪くて不潔なので大嫌い。料亭で出された刺し身はしゃぶしゃぶにして召し上がっていたそうです。

中でもエビは、ナマでも加熱済みでもNG。

理由は「海老は溺死人を食ふからいけない」との事で。

鏡花先生ぇ……

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