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いじどうくん3 かげ

二ヶ月ぶりの更新ですって?

(∩ ゜д゜)アーアーキコエナーイ


と、いうワケで、今回は「かげ」なのです。


「影」「陰」「蔭」「翳」


の四つが代表的ですね。

どれも画数が多くて、小説書く時の初稿が手書きのアナログな私は嫌になりますわ。


まあそれは置いといて。

この四つは最初に「影」とそれ以外の三つに分けられます。


まず「影」には、

 ①日・月・火などの光

 ②光が物体に遮られて出来る黒い部分

 ③光に映し出された人や物の姿

という意味があります。


用例は、

 ①月影、火影 (②の意味でも使用可)

 ②影法師、影が薄い、影も形もない

 ③魚影、遺影、御真影

などですね。

元々は①の意味、

転じて②や③の意味になった、

という感じでしょうか。


そして「陰」「蔭」「翳」には、

 ①物体に遮られて日光・風雨が当たらない所

 ②物体に遮られて見えない所、人目のない所

 ③表面にあらわれない事情・心理

 ④他人からの恩恵

という意味があります。


用例は、表記を「陰」にして書くと、

 ①日陰、木陰、陰干し

 ②ビルの陰に隠れる、陰で悪口を言う

 ③事件の陰、陰のある人

 ④お陰さまで

などなど。


「影」がキッパリと形を持つのに対し、

「陰」「蔭」「翳」は割りとぼんやり形のない物が多いイメージです。




では、「陰」「蔭」「翳」の違いはなんでしょう?

……正直あまり明確な差は無いかと思われます。


「陰」は①〜④のどれでも可。

   困ったら取り敢えずコレです。


「蔭」は(くさかんむり)がつきますので、

   「木蔭」「草葉の蔭から」

   などは、こちらにした方が

   イメージが湧くでしょうかね。

   なお辞書によっては、④は

   「御蔭様で」

   となっているものも存在します。


「翳」は元々、貴人の姿を隠したり、日除けにしたりする、羽毛の扇みたいなのを表すそうです。

   手を(かざ)

   の漢字ですね。

   あまり使用機会はない字かなあ。

   私は人の表情や心理に使う事があります。

   「表情に翳が差す」

   とかは、この漢字のイメージですね。

   私見ですが。




なので、




――だから帰ろうと言ったのだ。

ヘンリーは教会の脇のオリーブの木蔭に潜んで圏外表示を示すスマホを睨みつけた。

辺鄙な場所とはいえ、アーカムの町からさほど離れてはいない。圏外など有り得ない筈だった。

そもそも、この村はひと目見た時から何処かが可怪しかった。

薄汚れた、活気の無い漁村。

時の流れに取り残されたかのような、黴臭い淀んだ空気の中、建物も人も霧がかかったように現実味がなく、影が薄い。

一緒にバスを降りた親友は、軽く顔を顰めただけだったが、ヘンリーは生理的な不安に我知らず身震いをした。

その言い様のない不安は、正午の鐘で頂点に達した。

ごぉーん、ごぉーん

正気がひび割れたような、真昼の光を陰から嘲笑うような、悪意に溢れた響き。

どんな金属で造ればあんなにも不快な音が出せるのか、皆目検討もつかなかった。

しかし親友は……信じがたい事に爛々と目を輝かせて、鐘の鳴る丘の上の教会へ走り出した。

「ああ、きっとあれだよ! やっぱりこの村で間違いない。あそこに教授が狂った原因があるんだ」

と叫びながら。湧き上がる恐怖に似た予感に、どんなに言を尽くして説得しても、親友は止まらなかった。

そして、それきり帰って来ない。

普段から彼に振り回される事の多いヘンリーは、置いて帰ってやろうかと一瞬考えた。しかし、言葉がきつく人嫌いで偏屈な、弟妹や両親からさえ陰ながら疎まれているヘンリーが大学院で上手く立ち回る事が出来ているのは、この陽気な親友のフォローのお蔭である。その選択肢はすぐに消えた。

教授が発狂したのは今年の春だった。

研究室に残された資料やメモには、狂人特有の荒唐無稽な内容が多かった。変わり者で鳴らしたヘンリーでさえ、物好きな親友に誘われなければ本気で調べたりはしなかっただろう。

その異様な内容がヘンリーの理性と勇気に翳を落としている。

曰く、呪われた村で行われる、海の邪神との交配。年に二回の生贄。

おぞましい秘密教団の儀式。冒涜的な深海の楽園。巨大な、狂気に満ちた、鰭と鱗を持つ深き者どもの神。魔の暗礁での誓い。

迎えが来た。眠れない。目を閉じることが出来ない。この世にこんな事があっていいのか。見ろ。数限りなく()された、水かきのある手形が窓に!

「どうしたのですかな」

ヘンリーは奇跡的に悲鳴を飲み込んだ。空き家からくすねた鉈をとっさに背後に隠す。

いつの間にか、司祭と思しき男がヘンリーを窺っていた。色褪せた祭服を着て、奇妙な長い円帽子(カミラフカ)をかぶっている。

「当教会にご用ならば、こちらにどうぞ」

少しばかり傾いた陽に、薄く歪んだ、別の生き物にも見える影を引いてその男が歩み寄って来た。

べたり、べたり、と深い泥を踏んだかのような足音。

不自然なほど見開いた銀色の双眸には、一切の感情がなかった。

強烈に生臭い、死を思わせる悪臭がその男から吹き付ける。

「偉大なる神のもとへ」

差し出された皺のない手には、皮の広がった、まるで水かきのような――




と、こんな感じでしょうかね。

え、例文がクソ長いって?

(∩ ゜д゜)アーアーキコエナーイ、ア……イア!


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