わわ
味わう。祝う。賑わう。
これに、打消・勧誘の助動詞「ない」
または、使役の助動詞「せる」を続けた場合、
味わわない、祝わない、賑わわない
味わわせる、祝わせる、賑わわせる
となりますが……この「わわ」がどうにも気色悪いのです私。読んだ時が特に。
買う、払う、酔う、など「〜う」の形の動詞は、ワ行の五段活用で、
わ(お)−い−う−う−え−え
と活用します。未然形の二つ目の(お)は意思・勧誘・推量の助動詞「う」が続いた場合で、最初の例だと、
味わおう、祝おう、賑わおう
ですね。賑わおう、はなかなか無いと思いますが、それはともかく。
文法的には正しいはずなのに、この「わわ」の名状しがたき違和感は何でしょう? 冒涜的な深淵から何か這い寄って来そうで怖いんですけど。
味あわせる、等の表記もたまに見かけますが、ア行五段活用は文法上存在しないようですね。いや、語幹が変化してるから五段活用とかの問題じゃないのか。
調べてみると、誤用説と、「わ(wa)」の子音「w」が脱落した音韻変化説、「味合う」だと思ってる勘違い説と色々意見が別れているみたいです。
でも文法的には間違いだとしても、口に出す分にはこっちの方がはるかに言いやすい。私としては、同音の連続を避ける為に子音が落ちた説に一票。
でもね、
書かない、死なない、立たない
のように、同音が続いても、ちっとも気にならない場合もあるのです。なんで「わわ」だけ這い寄って来るんでしょう。
やっぱり発音が原因かな、と私は思います。
字面に特別なダメージは受けないですね。せいぜい上の例にあげた他の同音連続語と同じくらい。
声を出して、または頭の中で読み上げた時の違和感がひどいのです。
「わ(wa)」の発音は、唇を「う(w)」の形にしてから母音の「あ(a)」を発音します。この時の「w」は半母音と呼ばれ、半分母音で半分子音とかどっちかにせぇや的な扱いのようです。
「わわ」だと「w」の形の唇を母音「a」を発音した時に一度開き、再度閉じそうで閉じないハンパな「w」の形に戻す事になります。そしてまた開く。
試しに、「ああ」「いい」「うう」……と五十音全部言ってみましたが、圧倒的に「わわ」の唇の動きが独特かつメンドくさいです。
同じ半母音のヤ行はそれ程でもないのに。マ・パ・バ行も唇の動きは激しいけど、唇を閉じてしまえる分、返って気を使わなくて楽な感じ。
若い方々は、言いやすい「味あわせる」が正しいと思っている人の方がちょっぴり多い、という一昨年のNHKのアンケート結果もあるようですし、将来的にはこちらが主流になっちゃうかもしれませんね。
言語はナマモノですので、それもアリかと思います。
が、私がもし万が一文章中で使う機会があれば、取り敢えず今のところは文法通り「わわ」を使いますね。
小心者なので、間違い指摘される方が怖いんですよ。宇宙的恐怖よりも。
「賑わわせる」について、第三話に補完があります。
あわせて読んでいただけると嬉しいです。




