第3話 幼女とカロリーメ●ト
久しぶりの投稿です。
異世界。
ワイワイガヤガヤと街が活気づいていて、商人達がみたこともない果物売ってたり、冒険者が剣とか杖持って往来を歩いているファンタジーの世界。
冒険者ギルドがあって、依頼をうけられて、異世界人の俺はTEEEEEEEE!!
チートもないのにそんなバカなことを想像してました。
「なんだよこれ・・・」
痩せ細った平民達、無人となった店と思われるようなモノ。路上には糞尿が普通に転がっていた。
商人らしき人も冒険者っぽい人も誰ひとりいない。
「なんか思ってたのと全然違うんだけど・・・・」
これは本当にヤバいかもしれない。
ツーっと冷や汗が額を流れおちる。
とりあえず情報を調べなければ。
そう思って近くにいたガリガリの親子に声をかけた。
「ひっ・・・っっ」
脅えたような表情で、母親は必死に逃げていった。
子供を置いて。
え、ちょっと待って何で逃げるの!?
俺声かけただけなんだけど!?
周りを見渡すと平民達はさきほどの母親と同じように脅えていた。
「お貴族様・・殺さないでください・・・・見逃してください・・・っっ」
目の前の幼女が命をこう。
さっき逃げていった母親の子供だった。
何で俺が人殺す前提になってんの!?
ころさないよ!?
・・・って・・・・・・あれっ?
「お貴族様・・?」
聞き慣れない単語に疑問がうかぶ。
目の前の幼女は必死に殺さないでください、殺さないでください、とふるふる震えながらうずくまっていた。
「ちょっ俺は大丈夫だから!お貴族様じゃないから!」
そう必死に弁解したが幼女の怯えは止まらない。
これではらちがあかないので、たまたま鞄に入っていたカロリーメ●トを半分にちぎってあげた。
「たべなよ。」
数少ない食料だけど、これで自分は大丈夫な人だとアピール出来るはず。
幼女は驚いた顔をして少し躊躇したが、すぐにカロリーメ●トに飛びついた。
空腹にはやはり耐えられなかったみたいだね。
残りの半分を近くにいた平民にあげようとしたが、もう既に誰もいなくなっていた。
そんなにお貴族様とやらがこわいのだろうか。
ぐいっ
幼女がスーツをつかんで引っ張っていた。
もうとっくに食べ終わったらしく、キラキラした目で俺の手元のカロリーメ●トをガン見している。
「ほしいのかな?」
そう尋ねたら、こくこく!と頷いた。
はいどうぞ!と言って、渡したらとても喜んでくれたよ。
こんなガリガリなんだもんな・・
今まで辛い生活をしいられてきたんだろう。
どうにかしたいところだが、俺も危機に陥っている。
自分の命も危ういのに、どうにかするなんてことは出来ない。
そもそもここ異世界だし。
見捨てるようで罪悪感が湧くが仕方ない。
「ごめんね・・さよなら」
そう言って立ち去ろうとしたがそれは出来なかった。
「つれてって、」
饑餓のせいでしわがれてでなくなった声を振り絞って幼女は言った。
俺の足にしがみついて、おねがい、おねがいします、と必死に繰り返している。
これはさすがに見捨てられなかった。
こんなに小さなガリガリの少女が体をはってお願いしてくるのだ。
あまりの悲壮感に胸が痛くなって言葉を詰まらせる。
「いいよ」
幼女の顔がぱぁっと明るくなった。
子どもを連れて歩くのは大変なのだ。その分お金もかかるし、手間もかかる。
こんな何も知らない異世界で子どもを連れて安全にいられる自信はない。
だけど、
しょうがない、見捨てられなかったんだから俺がなんとかするしかないよな!
俺は幼女の手を引いて出口へと向かった。
→志郎は幼女をゲットした!!