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現身は斯く語りき。(アナスタシス)
世は夏なり。
外界にて我ら絶叫し、いずれ我ら亡くなるものなり。
もはや一刻の猶予もなし。我らこの一週のための畢生なり。
地の中潜り、木の汁啜り、空蝉放り、時既に五年が過ぎ去りけり。
残る一週、ただ喚くのみである。
“もののあはれ”な我らが命、しかしそれでも構わぬと断言する。
我らそれ故鳴く泣く過ごし、いずれ我ら亡くなるものなり。
世界は今日、陽射し強く、青空広く、雲掴めず、我ら出来るは鳴き叫ぶのみ。
我ら儚き命。うつしよは命溢るる。溢れた命に構うものか。
しかしそれでも構わぬと、我らは思う。
我ら泡沫と重々承知。それ故いたずらに叫ぶのだ。
我ら絶えるものなり。我ら耐えるものなり。
道端に転げようとも。人に腹見せようとも。我ら命を絞り切る。
うつしよは今日も斯く素晴らしい。