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一万円

 金を貸してくれなんて義母は何かあったのかとコウイチに尋ねると

「さぁ…パチンコで負けたんじゃない?」

と言う。ため息が出そうだ。

「ごめん、悪いんだけど一万円、貸してやってくれない?」

そう言われて断れる筈がないだろう。一万円貸した所で生活ができるのかわからないが、金額が少ない事から文句は言わずに貸すことにした。

 しかし、私達だって金がない事が義母には解らないのか。義母はコウイチの扶養家族になっているので健康保険等の支払いはない。しかも市営住宅で家賃は五千円。給料が月10万弱だとしてもそれほど生活費がかかるものだろうか。やはりパチンコで負けた線が有力か。

 ゆうとに兜を買ったせいかもしれないが、それなら七万近くもする品になんか手を出さず手頃な値段の物で済ませれば良かったのに。買った後に金が無いだなんて、当て付けのようにも思える。生活に困るのは勝手だが、うちには迷惑をかけないでほしいものだ。

 コウイチに義母の口座番号を聞いて貰い、翌日には振り込んだ。振込み手数料が取られるのは癪だったので、私の両親から貰った口座に一度一万円を入金し、その口座から義母の口座直接振り込んだ。通帳には義母の名前が記載された。あまり良い気持ちがしなかった。多分義母の通帳には、私の旧姓で振り込まれたことが記載されただろう。義母はどのような気持ちでその金を引き落とし何に使うのだろうか。

 振り込んだその日に義母から電話がかかって来た。

「ユナちゃん本当にごめんね。」

謝られても…。金は5月中旬の給料で返すとの事だった。とりあえず返ってくるなら問題はない。明るく

「大丈夫ですよー。」

と受け答えし、電話を切った。

 実家に帰った時、両親や叔母にはゆうとのオムツや服を大量に買って貰った。かなり助かっているが本来は自分達で用意すべきものだ。それなりに金がかかる筈だった。これからもっと必要なものも増える。義母に構う余裕などない事を何故わからない。それとも義母は私達が良い生活をしているとでも思っているのだろうか。


 ゆうとの初節句のお祝いは私の両親と義母が、我が家に来てくれる事になっていた。だが、コウイチの仕事が入ったため延期になってしまったた。更にその後誰も都合が合わなかった事から、節句のお祝いはしないかわりに初誕生のお祝いを盛大にしようということで話はまとまった。

 ゴールデンウイークは実家に帰り、のんびりと過ごした。本当は帰るつもりはなかったのだが、父が連休に入り、家族がゆうとに会いたがっていることから里帰りを余儀なくされた。ゆうとの世話を一人で見る生活に疲れていたのを知っていたコウイチが、ゆっくり休んでこいと言ってくれたのでお言葉に甘える事にした。

 地元に帰って早々、ゆうとが生まれて初めて熱を出した。かなり戸惑ったが熱を出したのが実家で良かった。車で病院に連れていってもらい、薬を処方してもらってすぐに治った。

 ホッと一息着いた矢先に義母からの着信が。義母からの電話はいつものことならが心臓に悪い。ぐっと身構えて電話にでた。

 ゆうとの近況を聞きたかっただけだのようなので熱を出した事を伝えると、

「風邪引かせたら駄目って言ったじゃない!」

とお叱りを受けて少なからずショックを受けた。

そんな事言われたって、生きてりゃ病気にもなるし怪我もするでしょう…。

と言ってやりたかったが口から出たのは

「気をつけてたんですけど…すみません。」

謝りの言葉だった。何故コウイチの母に私の子供の風邪を謝らなければならないのかわからなかったが、他に何も思い浮かばなかった。それに満足したように義母は

「気をつけてやってね。それじゃあまた。」

と電話を切った。何か力になってくれたこともないくせに…。

 この件を除けばゴールデンウイークは、友達に会ったり妹と出掛けたりと、とても有意義にすごせた。



 ゴールデンウイークが終わり、我が家に帰った。やはり里帰りしたのは正解だった。鬱々とした気分が晴れて、家事も育児もしっかりこなせるようになった。



 そして五月中旬。義母に貸した金が返って来る予定だった。の、だが何の連絡もない。

 これはおかしいぞ、とコウイチが電話をかけたが出ない。金の催促を避けているのだろうとコウイチは言った。義母とはこれからしばらく音信不通になる。

 腹わたが煮え繰り返りそうだ。金額はたった一万。無理に返せとは言わない。義母が金に困っていることは知っている。だが一言何か言う事があるだろう。義母に人間としての失望を覚えた。


 この義母の老後の面倒は私がみるのか?


 まっぴらごめんだ。




 そして義母に止まらず、今度ははコウイチが金の問題を再び起こすのだった。


書いていて段々辛くなります(:_;)

もう少し面白おかしく書きたいのにおもーい(^-^;笑

読んでくれる人が楽しめるようにがんばります!

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