その5
次の日、目を覚ますと知らない天井。
夢じゃない。窓から綺麗に手入れされた庭が見える。
「シンデレラ、入ってもいい?」
シンデレラが返事をすると、魔法使いが入ってきた。
「おはよう。よく眠れた?」
ローブを着ていない魔法使いは、寝起きのようだ。
「はい。天蓋ベッドで眠るなんて初めてで、ドキドキしたけど、すごくよく眠れました」
シンデレラは魔法使いに微笑む。
「それは良かったよ。朝ごはんにしよう、おいで」
杖を振るとパンがお皿に移動する。
カップにミルクが注がれる。卵もふよふよ飛んできた。
「すごい!」
シンデレラは感動しっぱなしだ。
「ふぁ〜あ」
魔法使いはあくびしている。眠そうだ。
「いただきます」
2人で食事を取る。
おいしい。それに…
「シンデレラ、涙が出てる」
魔法使いが驚いている。
「私、嬉しくて。こんなに穏やかな食事、いつぶりだろう。すみません…」
魔法使いが微笑む。
「今まで大変だったんだね、もう大丈夫だよ」
シンデレラはまた涙が溢れた。
「しょうがないな」
魔法使いは立ち上がると、シンデレラを抱きしめた。
「よしよし、思いっきり泣いていいよ」
シンデレラは魔法使いの優しさに、溢れる涙が止まらなかった。
人に優しくされると、こんなにあったかいんだ…
しばらくして、やっと泣き止む。その間ずっと、魔法使いは小さい子にするように抱きしめてくれていた。
「もう大丈夫です。」
シンデレラが言った。
「そう、よかった」
魔法使いがシンデレラに微笑んだ。
シンデレラは魔法使いが眩しく見えた。




