その4
魔法使いが杖を振ると、シンデレラは光に包まれた。気付くとお城の入り口にいた。
かぼちゃの馬車じゃないんだ。
ちょっと残念に思いながら、シンデレラはお城の中に入る。
お城にはドレスの女性、給事の召使いが沢山いた。
「あなた、こっち手伝ってくれる?」
「はいっ」
意外とすんなり潜入する事ができた。
広間の奥に王子がいる。シンデレラはそっと近づいた。
王子は端正な顔立ちの青年だった。背筋がピンと伸びていて、黒髪だ。
しかし椅子に座って退屈そうだ。
「誰か飲み物を持ってきてくれないか?」
「かしこまりました」
シンデレラはすかさず返事をした。
飲み物は…
「あの、王子様が飲み物をと」
他の給事に確認する。
「ああ。コレを持って行ってくれ。隣に控えている側近に渡せばいい。」
「ありがとうございます」
シンデレラはシュワシュワしている飲み物を側近へ渡す。
「どうぞ」
側近は受け取ると毒味をして王子へ渡す。
「ありがとう。」
シンデレラにまでお礼を言ってくれた。
王子様良い人!
舞踏会が始まっても、王子は誰とも踊ろうとしなかった。
シンデレラは王子を盗み見しながら、メイドとして働いた。いつもしている仕事の延長だ。むしろ他のメイド達よりも多く仕事している。
1日目の舞踏会が終わる。
継母と姉達には会わなかった。ホッとする。
そーっと城の出口に来たはいいが、帰りはどうしたらいいんだろう?
「シンデレラ、お帰りかい?」
どこからともなく、魔法使いが現れた。
「魔法使い様!」
「シンデレラ、家に帰りたい?」
そう聞かれ、はっとするシンデレラ。
「本当は帰りたくない。もうあの人達と同じ家は嫌…」
考えるだけで気分が悪くなる。
「じゃあ、俺の家に行こうか」
「え?」
光に包まれ、気付くと家の中にいた。
「ここは…」
「俺の家、ちょっと待って」
そう言うと、魔法使いは杖を一振りする。
天蓋ベッドにかわいい机と椅子。洋服が幾つかハンガーにかかる。窓にカーテン。
あっという間に、シンデレラ用の部屋が出来上がった。
「これでよし。じゃあ、おやすみ」
そう言うと魔法使いは部屋から出て行った。
「あ!ありがとうございます!」
シンデレラはベッドに腰を下ろす。
天蓋ベッドで眠るなんて初めて…
今日の中で1番感動したシンデレラだった。




