その1
「あなたは、こんな事もできないの?」
紅茶が床に落ちる。
「しょうがないわ。だってシンデレラだもの」
「本当に何もできないのね」
2人のお姉様はシンデレラにいつもキツく当たる。
お母様は継母で、やはりシンデレラを邪魔にする。
本当のお母様は私を産んですぐに、お父様は私が小さい頃に事故で亡くなってしまった。よって、家には継母と継母の連子の2人の姉。
私は父が亡くなるとすぐに、使用人として扱われる事になる。いや、使用人よりも酷い…
「早く床を拭いて!」
「かしこまりました。」
シンデレラは片付けを始める。
でも、シンデレラは知っている。こんな毎日ももうすぐ終わる。
「舞踏会が開かれるのは明日。そうしたら私は王子様と恋に落ちて、こんな所出ていける!」
シンデレラが前世の、この記憶を思い出したのは昨日。
思い返せば酷い日々だった。
「お母様!私のドレスに付けるネックレスだけど…」
「靴はこれでいいかしら?」
姉2人がはしゃいでいる声が聞こえる。
「ふふ、可哀想に。何も知らないなんて」
シンデレラは姉に同情する。
王子に見向きもされないくせに、どんなドレスだろうと私には叶わない。
紅茶を淹れ直すのもバカバカしい。
シンデレラは自分が作ったドレスを眺めた。
記憶が戻る前、コツコツ作ってきたドレスだ。思い入れはあるが、シンデレラのストーリーでは明日姉達にボロボロにされてしまう。
写真だけでも撮りたいが、この世界にスマホはない。
アクセサリーと靴ががなくて困ってたけど、どうせ明日魔法で出してもらえる。
「まぁいいか」
シンデレラは窓からお城を眺める。
自分の部屋は屋根裏部屋で、眺めだけはいい。
私が見たシンデレラでは、鳥やネズミが助けてくれたけど、現実そんなことはなかった。
楽しい事は何もなかった。
記憶のシンデレラは前向きに頑張っていたけど、私には前向きに頑張り続ける事は難しかった。
私の心は綺麗じゃない。
継母と姉達が悔しがる姿を見たら、笑ってしまうだろう。
そんなシンデレラおかしいとは思うが、私の心はそうしないと保っていられない。
「シンデレラ!」
自分を呼ぶ声がする。
「はあ。」
ため息をついて、シンデレラは継母達の部屋へむかった。
転生する前は、一般的な女の子だった。
小さい頃、お姫様の中ではシンデレラが1番好きだった。
中学生の時に事故で、気付いたら転生していたらしい。




