仲間たちの反応
同期
女同期の桐生まどかの番が来た。
声が小さく、控えめで、いつも周囲に気を遣う
まどかの父は現役のボートレーサーだと高梨から聞いてる
養成所では“異色の経歴”として注目されている
「き、桐生……いきます……」
マシンを押し始めるが、スピードが乗らない。
足がもつれ、クラッチをつなぐタイミングも遅い。
――バンッ!
エンジンはかかったが、まどかは乗り込むのが遅れ、マシンが横に跳ねた。
「きゃっ……!」
倒れそうになり、慌ててマシンを止める。
膝が震え、目に涙が滲む。
「ご、ごめんなさい……すみません……」
榊は厳しい目を向けたが、何も言わなかった。
その代わり、整備場の奥から黒川教官がゆっくり歩いてきた。
黒川はまどかの前に立ち、無言でマシンを指差した。
「桐生。押しがけはな……“力”じゃねぇ。」
まどかは驚いて顔を上げた。
「え……?」
「お前、押す時に腕で全部やろうとしてる。だから身体がついてこねぇんだ。」
黒川は自分の足を軽く蹴りながら言う。
「使うのは“足”だ。腕は添えるだけ。
足で地面を蹴って、身体ごと前に出す。
機械を押すんじゃねぇ。“自分が走る”んだ。」
まどかは真剣に頷いた。
「は、はい……!」
黒川はさらに続ける。
「それともう一つ。
お前は失敗するとすぐ謝る癖がある。
謝る前に、まず“次どうするか”考えろ。」
まどかの胸に、その言葉が深く刺さった。
まどかは深呼吸し、マシンの横に立った。
足に力を込め、黒川の言葉を思い出す。
――腕じゃない。足で走る。
「いきます……!」
まどかは地面を蹴り、身体ごと前へ飛び出した。
さっきよりもスピードが乗る。
「今だ、桐生!」
黒川の声が飛ぶ。
クラッチをつなぐ。
――バンッ!
エンジンがかかった。
まどかは必死にハンドルを握り、跳び乗った。
マシンがまっすぐ走り出す。
「……できた……!」
まどかの目に涙が浮かんだ。
今度は悔しさではなく、嬉しさの涙だった。
三浦が拍手しながら駆け寄る。
「まどか! すげぇよ! 俺より全然うまいじゃん!」
高梨は腕を組んで笑う。
「やるじゃん、桐生。見直したわ。」
ひかりは少し離れた場所で、静かにまどかを見つめていた。
その目は、ほんの少しだけ柔らかかった。
遼はまどかの横に立ち、優しく声をかけた。
「よかったな、まどか。ちゃんと前に進んだよ。」
まどかは小さく頷いた。
「……はい。黒川教官のおかげです。でも……次は、自分でできるように……なりたいです。」
黒川は背を向けながら、ぼそりと言った。
「その意気だ。桐生。」
足で…




