高梨と三浦
同期
夕方の養成所は、訓練の熱気がようやく落ち着き始める時間だった。
整備場の奥では、遼がひかりと衝突した余韻を引きずりながら、黙々と工具を片付けていた。
そこへ、ドアを蹴るようにして同期の高梨が入ってきた。
「おい相馬、また白石とやり合ったって? 犬猿ってレベルじゃねぇな。」
遼は顔を上げずに答えた。
「別に……ただの意見の違いだよ。」
「違い? あいつ、お前のこと完全に見下してんじゃん。」
高梨はニヤリと笑い、遼の肩を軽く小突いた。
挑発とも励ましともつかない、いつもの調子だ。
その後ろから、息を切らせて同期の三浦が駆け込んできた。
「た、高梨! 勝手に先に行くなよ! 俺、まだ片付け終わってないんだって!」
「お前が遅いんだよ。ほら、相馬も言ってやれ。」
遼は苦笑した。
三浦は整備が苦手で、いつも黒川に怒られている。だが、誰よりも明るく、空気を和ませる存在だった。
三浦は自分のマシンの前に立つと、慌てて工具箱をひっくり返した。
ガラガラガラッ。
「うわっ! やっべ……!」
高梨が額を押さえる。
「お前、今日だけで何回目だよ。」
三浦は必死に工具を拾い集めながら、遼に助けを求めるような目を向けた。
「相馬ぁ……俺、ほんと向いてないのかな……」
遼はしゃがみ込み、散らばった工具を一緒に拾いながら言った。
「向いてないなら、ここにいないよ。三浦はちゃんとやってる。」
「……遼、優しいなぁ。」
高梨が鼻で笑った。
「甘やかすなよ相馬。こいつは怒られないと伸びねぇタイプだ。」
「ひどっ! 俺だって頑張ってるんだぞ!」
三浦は頬を膨らませたが、どこか楽しそうだった。
夕暮れの整備




