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TS支援系魔法少女  作者: LIN
第3章 純愛の結晶
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29 メーヴェ、他人軸

前回のあらすじ:姉離れができない妹を元気付けて、子供たちがもうすぐ生まれることを報告したよ!

 ……なんだろう。違和感が、ある。


 暁さんとメーヴェと僕で話している間、メーヴェは謝罪の一言しか言わなかった。普段ならもう少し冷静で客観的な分析を提示して、提案してくれる……あれ?


 ――まるでAIみたいじゃん、それ。


 いや、まあ、そういう日もあるか。メーヴェだって人間だし、調子の悪い日もある。ゆっくり休んでもらって……休む。


 そういえば、この魔法少女寮って何もなかったよな。いや、メーヴェの部屋を見たことはないけど、ゲームもテレビも暇つぶしの道具も、かろうじて本が数冊あるだけ。

 メーヴェはゲームとか一切持っていないみたいだったし、まるでミニマリストみたいな……娯楽が、ない?


 ……そういえば、フィアラルが言ってた。「メーヴェってしっかりしてて頼りになるんだけど、なんか消えちゃいそうっていうか、いつの間にかいなくなっちゃうんじゃないかって思うことがある」って。


 フィアラルは案外、人の心を機微に読み取るから。気のせい、とは切り捨てられないよなぁ。

 消えちゃいそう、というのは……会話の中でそんなことを感じたことはなかったけど、魔法少女寮を見ると納得できちゃうのが怖い。


 まるで、自分がいつでも消えられるような感じ。

 消える準備、とかじゃない。最初からいつでも消えられるようにしている、みたいな。


 いや、まさか、ね。メーヴェが本当にミニマリストなのかもしれないし。

 それに僕のためにいろいろ動いてくれて、助けてくれて……。


 ……行ってみるか、メーヴェの部屋に。もしかしたら僕の気のせいで、メーヴェの部屋の中に私物が大量にあるかもしれないし。






 ――と思っていた時期が僕にもありました。


 「何もない部屋だけど、悪いわね」

 「いや、大丈夫。ゲームでもやる?」


 メーヴェの部屋にお邪魔してみた。最低限のものしかなかった。ミニマリストを通り越して、本当に誰か住んでいるのか疑うような、生活感がない感じ……。

 いや、おかしいだろ! 今までどうやって暇つぶししてたんだメーヴェ……。


 「いいわよ? でも私、そういうのあんまりもってなくて」

 「そういうの、というかこの部屋何もないんだけど……」


 言ってからちょっと直球すぎたかな、と思ったけどメーヴェは許して、というか逆に。


 「ごめんなさい、今まで1人だったから……そろえたほうが、いいかしら」


 謝罪されてしまった。うーん?


 「いやまあ別に、メーヴェが欲しいものから買っていけばいいと思うよ?」

 「私の欲しいもの、ねぇ」


 そういって困り顔を見せるメーヴェ。……ほしいものがない?

 自分が何をしたいのかがわからないタイプ? でもその割には、メーヴェ自身の意思で高校にはいかずに専属魔法少女になったって聞いたけど。


 「専属魔法少女なんでしょ? ほら、普通の高校生が欲しがるようなゲームとか、女の子が欲しがりそうな……ものはメーヴェは興味なさそうか」


 うん、イメージがわかないな。普通の女の子のような、かわいいぬいぐるみとかを抱くメーヴェって。


 「うーん……?」


 いまいちピンと来ていない感じ?


 「専属だったら、お給料いっぱいもらえてるんじゃない? 使ったりしないの?」

 「確かに、お金はもらえてるけど。フィアラルと遊ぶ時くらいしか使わないわね……」

 「ほしいもの買ったりしたらどう?」

 「うーん、そういうの無いのよねー……あなたに欲しいものがあれば、買ってあげるけど」


 いや、買ってあげるけどって。メーヴェのお金なのに。

 他人のためにお金を使うことは厭わないのか……? でも自分のためには全く使ってないんだけど。


 「うーん、それだったら高校行ったほうが良かったんじゃないの? ほら、フィアラルと同じ学校に行くとかさ」

 「……私も高校に行っていたら、フィアラルが高校に行っている間に出たのを対処できないじゃない。フィアラルは魔法少女を最初は隠してたし、私が専属になればフィアラルは普通の高校生活を送れるじゃない?」

 「あ、自分が自由にしたかったから専属魔法少女になったんじゃないのね」


 フィアラルのため、か。うーん、友達想いだねー。


 「すごいね、フィアラルのためにそこまでするんだ」

 「そこまで、って程ではないわよ。普通に友達だから」


 ……いや、普通じゃないから。

 一瞬迷って、僕は――踏み込んでみることにした。


 「いや、高校に行くかどうかって結構重要な部分だと思うけど。まあ魔法少女だからいいと言えばいいけど、それでも友達のためだけに行かないって決めるのはすごいよ。人生を左右するものじゃない?」

 「……」

 「それにさっきのお金の話もさ、メーヴェのお金なんだからまずはメーヴェの欲しいものを買いなよ。別に買い物に限らなくても、1人で遊びに行くとかでもいいしさ。僕やフィアラルが悪い人間だったら、メーヴェの人生しゃぶりつくされちゃうかもよ?」

 「まあ……さすがにそこまではされないと思うけど」


 いや、とは言えねぇ。さっきもさらっと僕に貢ごうとしてたし、心配になるよね。


 「メーヴェ、まず自分のために動こうよ」

 「ふふ、貴女がそれを言うの?」

 「いや、僕は僕の幸せをつかんで、というか強引に押し付けられたから。フィアラルに」


 うん。フィアラルかわいいし、天然なとこもあって飽きないというか、楽しいよね。


 「そういえば、そうだったわね……おめでとう」

 「えっと、ありがとう? うん。まあというわけだから、メーヴェも僕のことはそこそこに、自分のことに集中してもらっていいんじゃないかな」

 「自分の事、ねぇ」


 再び困り顔をするメーヴェ。……なんとなくわかってきたぞ?


 今までのメーヴェの行動って、僕やフィアラルのため、他人の役に立つための行動ばかりでメーヴェ自身は何をしたいとか、そういうのが見えない。

 自分のことはどうでも良くて、まず他人のために行動する、みたいな……いやほんと、ロボットか何かかな?


 今まではフィアラルと2人でやってたからよかったけど、フィアラルが僕にくっついてしまったから……メーヴェはこれから、どうするんだろ。

 いや、フィアラルも僕も、メーヴェとは友達でいるつもりだけどさ。


 僕にとってメーヴェは助けてくれた恩人でもあるし……これ以上僕のために動いてもらうのも申し訳ないというかなんというか。

メーヴェちゃん、1人での趣味というのがないみたいです。

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