21 女の子同士の恋人ってユリっていうんだっけ?
前回のあらすじ:メーヴェにフラレたよ!
「さて、フィアラル……あーいや、杏ちゃんって呼んだほうがいい?」
「あ、うん」
さて、今度は僕と魔法少女フィアラルである杏ちゃんで心をつなげて直接会話である。
いやー、なんというか……杏ちゃん、本人ですらなんで僕を好きになったのかわかってないっぽい。
「その、付き合う?」
「い、いいの?」
「まあ、いいけど……でも、その。あんまり構ってあげられないかもしれない」
「あ、うん」
まあ、魔法少女としての活動はともかくとして……僕は僕でやりたいことあるし、それに杏ちゃんも学校とかあるだろうし。……魔法少女基準ではそんなに家は遠くないけど、僕は空飛べないからなぁ。
「もしかすると、遠距離恋愛みたいになるかもしれないけど……それでもよければ」
「うん……休みの日に、来たらダメかな?」
「大丈夫だよ、いつでもおいでー」
うん、それはいいけど。でも平日には基本的に会えないからなー。
……しかし、彼女か。まさか女の子にTSしてから彼女ができるとは思ってなかった。
「んじゃ、よろしくね杏ちゃん」
「う、うん……」
こうして、僕と杏ちゃんは恋人になるのだった。
今の僕は女の子なので、女の子同士の……ユリカップル、って事になるのかな。
「えー、というわけで僕達付き合うことになりました」
「あ、そ、そうなのね……いつも想像の斜め上の報告してくるわねあなた」
暁さんに報告したら、この反応である。
まあ、心当たりはあるけど。今回のは迷惑かけてないから大丈夫なはず。
「それで、ちょっと相談があるのですが」
「何かしら?」
「魔法少女を増やせば、他の魔法少女の負担も減るし街の安全も確保できる。一石二鳥だとは思いませんか?」
「うーんまあ、希望者がいれば考えなくはないけれど……」
「普通の女の子を魔法少女にするんじゃなくて、僕が魔法少女を作ろうかと思うんですよ」
「は??」
「普通の女の子を魔法少女にするんじゃなくて、僕が魔法少女を作ろうかと思うんですよ」
「いや、聞こえなかったわけじゃなくて……」
うん、まあ、思考が追いつかないのはわからなくもない。
きっと暁さんの頭の中では、僕が適当な男でも引っ掛けて子作りしてくるとでも思っているんだろう。まあ、子作りという点ではあながち間違いでもないけど。
「作るって、どういうこと?」
「平たく言えば、子作りですね」
「いや……え、え? あなたが魔法少女を、その、産む……ってこと?」
「まあ普通に子作りするわけではないですが、だいたいその認識で合ってると思います。あ、男は要らないのでご安心を」
あ、フィアラル……杏ちゃんが黙り込んだと思ったら、妄想が捗ってるねコレ。しばらく戻ってこないんじゃないかな。
暁さんはというと、頭を抱えて唸りだしてしまった。こっちもこっちでしばらく復帰しなさそう……?
「ええと、男は要らないってことは、普通に子作りするわけではないのよね……どうするつもりなの?」
「魔力を使って作ります。産まれるのは魔法生物の魔法少女になると思いますよ」
「待って待って、魔法生物ってなに?」
なに、って言われても説明しにくい。こう、魔法みたいな生物としか。
「まあ、魔力で生きている生き物? みたいな?」
「そ、そう……まあひとまず現状、そこまで切羽詰まっているわけではないから大丈夫よ」
あ、もう考えることを放棄したな暁さん。
大丈夫って言われてしまった……まあ、予想通りだけれども。
「わかりました。それで、僕とフィアラルが付き合うに当たってフィアラルもここに住んで、同棲したいみたいなんですが」
「みょみょわぁ!? ななななっななな」
いや、そりゃまあ魔力パスで心の中まで筒抜けですから。
このままだと本人が妄想にふけって戻ってこなさそうなので、僕から言ってあげたのだ。
「そうね……今すぐにというと無理だとは思うけど、今から急げば冬休み辺りに引っ越しと転校ができるようになるかしら」
「そうなると、フィアラルの護衛のもとウェーブも学校に行けないかしら?」
おおっと、ここで静かに見守っていたメーヴェからまさかの提案。
まあ、確かに同じ学校に行けば、何かあればフィアラルがすぐ駆けつけられるから安心……ということ?
というか、別に僕はこのまま引きこもりでもいいんだけど。
「そうね、それも考えておかないとね……学校に話を通して、同じクラスにしてもらえばウェーブちゃんも学校に通えるかもしれないわね」
ふむ……今は10月だから、あと2ヶ月くらいかな。
学校に行くとなると忙しくなりそうだから、それまでにちょっとやりたいことやっておこうかな?
女の子同士で恋人になりました。なお杏ちゃんはなかなか妄想逞しいです。