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TS支援系魔法少女  作者: LIN
第2章 不幸属性が付いたらしい
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19 リリウムドール、能力確認

前回のあらすじ:前世を思い出して発狂して入院していたよ!

 数日間の入院後、僕は魔法少女寮に帰ることができた。

 いやぁやっぱり病院食ばかりだったから、久々の普通のご飯が美味しいね! あとお腹いっぱい食べられるって幸せだね! ……病院食は味気なかった。


 まあ、そんなこんなで僕は今、ベッドの上で気を落ち着けている。

 深呼吸、深呼吸。隣にはアビスもいる、大丈夫……よし。


 「衣装(フォーム)百合人形(リリウムドール)


 僕の全身が光り、僕は完全に魔法少女になる。

 よし、前世の記憶は前回の変身で思い出したから、これ以上の精神的ダメージはないな。ふぅ。


 「大丈夫? お姉ちゃん」

 「うん、大丈夫だよ」


 手を握ってくれるアビス、すっごく安心する。……それじゃあ、始めようかな。


 『共鳴』を発動、僕の魔力を無限に増幅。同時に、魔力を放出して周囲に僕の魔力を浸透させていく。

 普通の魔法少女だとあっという間に魔力が尽きるけど、無限に増幅させながらなら。


 と、部屋全体に魔力が満ちたら次の実験。アビスの魔力に介入、魔力パスを強制接続して……おお? 感情や思考が流れ込んで、というか読み取っている?

 なるほど、リリウムドールで他の魔法少女に干渉できるのは分かっていたけど、まさか心の中まで覗けちゃう感じなのか。なんというか、女の子にするには罪悪感があるな……。


 大丈夫かな? と僕の考えを送ってみると、大丈夫だよと言う思考が返ってくる。ウェーブになった時の共鳴通信も便利だとは思ったけど、感情を直接送受信できるのは便利というか規格外なのでは。

 これ、心の中を覗かれてることとかわかるのかな? ……あ、一応分かる? どうやら誰かが入り込んできているのは分かるらしい。うわぁ他の子たちには嫌がられそう。


 じゃあ次、五感の共有いいかな。……どうすればいいんだろ?

 接続した魔力パスを通ってアビスと一体化するような感じ? アッこれ違うわ、確かにアビスの五感は感じ取れてるけどアビスの身体を乗っ取ったみたいになっちゃった。失敗。

 えーっと、視覚だけ……うん、こんな感じか。あ、僕をまっすぐ見てる……なんだか気恥ずかしいな、これ。


 なるほど、大体わかった。こんな感じか。

 とりあえず今回はここまででいいか、大体の感じは分かったし。アビスとの接続は……このままでいいらしいので、このままにしておくか。


 「ありがとね、アビス」

 「うん」


 とりあえずできることは分かったけど、もう少し慣れが必要かな?

 メーヴェとフィアラルにもちょっと協力してもらおうかな? ……僕のやりたいことを話したら、反対されるんだろうか。

 まあ、この能力があれば反対されても強行できるから問題ないと言えばないんだけど……うーん。


 「何を考えてるの?」

 「んー……」


 アビス……鈴音にはどうしよう。正直なところ言いたくない。巻き込みたくないと言うか。

 いや、でも……うーん。うん、やめとこう。


 ピンポーン


 あ、魔法少女寮に誰か来た? 部屋から出ると、既にメーヴェがインターホンを見ていた。


 「今開けるわ。フィアラルが来たわよ」


 フィアラル? あ、そうか今日は土曜日か。

 最近全然学校に行ってないから、曜日の感覚が狂っちゃったな……まあ今後も学校に行く予定はないんだけど。


 「えっと、おはよう?」

 「ええ、いらっしゃい。今日はどうしたの?」

 「あ、いや。ウェーブのお見舞いと言うか、退院したって聞いて」

 「そういえば、あなたは学校があるから1週間ぶりよね」


 あ、フィアラルがこっち向いた。軽く手を振ってみる……返してくれた、嬉しい。


 「メーヴェから大丈夫って聞いてはいたけど、直接話してないから」

 「ん? 別に話したかったら話しても良かったのに。病院じゃ暇だったし」

 「えっと、連絡先交換してないから、わからなくて」

 「魔法少女に変身すればいつでも話せると思うけど」

 「あ」


 あ、って。忘れていたらしい。


 「まあせっかく来たんだし、ゆっくりしていきなよ。お茶でも入れようか?」

 「えっと、お構いなく」

 「うん。じゃあ、なにかする?」

 「何かって……えっと、何を?」


 あー、そういえばなにもないな。ここにはテレビすらない。

 かろうじてラジオはあるけど……県から配布される防災ラジオが。一応使えるけど使い勝手は悪い。


 「トランプの1つでもあればよかったわね、今まで必要なかったからなにもないのよね」

 「今までメーヴェとフィアラルで過ごすこととかなかったの?」

 「ほとんど外で遊んでいたのよ。でもあなたを連れて外には出たくないし」


 あー、あー。なるほど? 確かに魔法少女って出撃すると報酬がもらえるし、お金には困ってなさそう。

 外のゲーセンとかで遊んでてもおかしくはないか、前もショッピングモールで……いやあれはどちらかといえば食べ歩きだったな?


 「まあ、何だったら外で遊んできなよ、アビスも含めて3人で」

 「え、いや、フィアラルはお兄ちゃんに会いに来たんだと思うけど」

 「うーん、じゃあリリウムドールの実験でもする? 嫌ならやらないけ――」

 「する!」


 え、あれ? なぜかフィアラルが目を輝かせて……いや、心の中除くようなものだから正直そんな楽しくはないと思うんだけど……


 「じゃ、じゃあとりあえず、リラックスできるようにお茶でも用意するよ」

 「あ、お兄ちゃんそれは私が。私はさっきやったから」

 「ありがと……ごめんね」

 「ん、別にいいよ。それじゃ、楽しんで」


 いや、これは楽しむものではないと思うんだけど……。


 「じゃあふたりとも、落ち着いて聞いてほしい。僕のリリウムドールは魔力パスを強制接続するものだから、心の中まで筒抜けになる……かもしれない」

 「かもしれない?」

 「うん、僕のさじ加減でどこまで心を読むか制御できるし、強く念じれば逆にそっちから僕に心の中を送るというか、表層に浮かんできた感情を読み取ることが出来る……から。嫌ならやらないけど」

 「別に私はいいけ…ど……」


 うん、メーヴェは普通にしてるけど、フィアラルが顔を真赤にしてるね。


 「フィアラルは止めておいたほうが良さそう?」

 「あー……いえ、やっちゃって頂戴」

 「え? いや、本人の意向を――」

 「やりなさい。いいわねフィアラル」

 「えああ、ええと」


 え、メーヴェ? いつになく強引だけど、なんで??

 ここから一旦日常パートを挟んでから、ウェーブちゃんが事件を起こします。お楽しみに!

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