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皇国皇道  作者: 夢橋 簓
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第弎話 嵐の前の静けさ

ベルトヒル長官との会談後すぐに閣僚会議が開かれた。

「ほう…密約ですか」

資料を見てこれまた何かを考えている大隈重信総理

「我々に大英帝国を裏切れと…」

「そういう事になりますね」

私がそういうとまた、沈黙が走る。各人それぞれが考える未来に思考を伸ばしていた。

そんな重い空気が漂う中、大隈総理が口を開けた

「岡陸軍大臣、そして八代海軍大臣、私は1つの可能性として君らに聞きたい」

「なんでしょうか?」

「もし仮にだ」

仮という言葉を強調して大隈総理は言った

「大英帝国を裏切り、この先起こるであろう戦争に勝てる見込みはあるのか?」

大隈総理の言うこの先起きるであろう対戦とはヨーロッパの事だろう。すでにいつ爆発してもおかしく無いという情報が入ってきている。また、各国の密約、安全保障条約が絡み合っている。その中でもドイツのビスマルク外交から始まったドイツ オーストリア・ハンガリー帝国 イタリアの三国同盟は健在だ、また、確認出来る限りではフランスとイギリスが英仏協商を結んでおり、日英同盟がある今とりあえず我が皇国は協商側陣営という事になる。

「はっ 陸軍大臣の観点から率直に言わせていただきますとかなり厳しい戦いであることが予想されます。相手は世界の半分を支配する大英帝国です。植民地軍も含めれば兵士の数は圧倒的です。また、科学技術の発展は常に各国より1歩リードしている状況です。兵器の質が違います。歩兵1人に持たせる小銃でさえ大きく劣る我々は厳しいでしょう」

1呼吸おいて岡陸軍大臣が再度話す

「また、この先起きるであろう戦争の主戦場はヨーロッパです。我が皇国からあまりにも距離が離れているため兵站問題や物資の輸送にかなりの時間を要するでしょう。」

「続きまして海軍について言わせていただきます」

八代海軍大臣が口を開く

「率直に言いますと海軍に関しては勝ちの見込みがあると思われます。仮想敵国を大英帝国とするならば、大英帝国はヨーロッパつまりは地中海とアジアの2方面で海軍を動かさなければならずまた、先程陸軍大臣が仰っていた通り距離があるため燃料問題や兵站などはこちらに分があるといえます。仮想同盟国のオーストリアですがホルティ・ミクローシュ海軍大将を含め優秀な指揮官がいる為、善戦するでしょう」

「しかし、我が皇国の海軍は日英同盟の資料輸出によって完成し、成り立っています。我々の艦隊のほとんどがイギリス製つまり、相手は我々の艦隊の構造が丸わかりの為、弱点や性能まで把握されているので勝てなくも無いが戦いたくないという所でしょうか。」

ふむ……と大隈総理が考え込む

「なるほどな……参謀総長はどうお考えで?」

難しい顔をしながら私に尋ねた

「参謀総長として言わせていただきますと、やはり大英帝国との戦いは避けたいですな、世界最大の海軍を持ち、科学技術の圧倒的発展、また、イギリスの同盟国のフランスもかなりの陸軍戦力を保有しています。さらに……」

ここで1呼吸おく、私が1番懸念しているところだ

「ロシアの動向が気になりますな、満州を手にした彼らはユーラシア大陸の半分を支配する強大な国家です。

今の世界情勢を見たところ、大英帝国、アメリカそしてロシアが三強であると考えます。ロシアはビスマルク体制時、1度同盟国側についていた事から行動が読めません。」

「そうか…君も反対なのか…」

大隈総理がそう呟く

しかし、私は1つだけ頭に引っかかっていた、それは、ベルトヒル長官の最後の言葉だ

「しかし、ヨーロッパ各国は今回のような密約で結び付けられています。正直今回のオーストリア帝国の思惑が見せません。日英同盟で結び付けられている我々に大英帝国を裏切る密約を持ちかけ、我々の満州攻略への協力

オーストリア帝国側に大したメリットもない、我々に協力を仰いだところで大英帝国に勝てるとは思えません。

私は、大英帝国と同盟国陣営に何かしらの密約があるのではと睨んでいます。」

閣僚達から驚きの声が上がる

「恐らくそれは我が皇国にとって不利益になることなのではないかと」

「いや…それはないな」

大隈総理が言った

「ここで大英帝国が我々を裏切るメリットの方がない

恐らくオーストリア帝国としては我々に揺さぶりをかけたいのだろう、大英帝国が窮地の時に我々がすぐ動けぬように、」

「それもそうですね……」

「よし、それでは決まりだな、我々はオーストリア帝国との密約を結ばない事とする」

大隈総理の鶴の一声で決まった

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