未定8
この世界には多用の種族が居る。
これは絵本からでも分かる話だった。
エルフにドワーフ、リザードマン──
おおよそ、魔物も豊富に居て、そのハーフも多く居る。
そして知識を持ちコミュニケーションが取れるほどは魔物じゃないとザックリとした認識でこの世界は成り立っているようだった。
時には魔王など現れたり、魔族というのも出てくるが──それはまた別種的な扱いとされてるようだった。
ただ、問題はその中でも豊富な魔力と容姿に優れるエルフは──。
「あい……がん……?」
「愛玩──はそうだな、分かりづらいか。そうだよな」
「魔力もあってそれだけでも美味しくて、綺麗だと……悪い人に利用されそうなの」
「ママは悪い人に拐われちゃったの……? ねぇ、パパは?」
「「──」」
トーリとカーラ2人とも何とも言えない顔になる。
レイも分かっていて聞いたのだろう。
ただ、その顔が苦しく歪む前にそっと──頭を撫でる。
「──!」
『大丈夫、今は安心だから──』
ポロリと泪が落ちはしたが撫でられる度に落ち着いていくのが分かった。
「トオル? この事は──」
『うん、分かった。 なるべく気付かれないなら秘密にする』
「偉いわね」
カーラが安心するように微笑む。
「カーラ、俺はドルマンさんにだけは事情を伝えてくる」
「あなた、気を付けて」
あぁ──と言ってトーリは足早に家を出ていく。
ドルマンさんには伝えるのだろう。
だって、ハーフエルフも充分に狙われる可能性があるのだから当たり前だ。
絵本の中では魔術的な要素で触媒として使われていたりもしていた。
きっと史実から書いていたから事実なのだろう。
僕はこの今撫でていて僕にもたれ掛かって来ている子を守ろうと強く思い抱くのだった。