未定⑥
「お名前言えるかな──?」
母のカーラの言葉にその子はまだ怖がっているような……怯えてるような、父の足の裏側に隠れてしまう。
「うーん、困ったねぇ……」
ハハハ……、と父の曖昧な声も聞こえる。
(──仕方ないか)
トテトテと父の裏側に隠れてしまった青髪の子の所へ怖がらせないように近付いていく。
「……」
自分に気付いたのか、その子はジッと見てくるだけで、特に怖がる事もなく、近付いてくる僕を見てきていた。
「──!!」
ギュッと片手は父のズボンを掴んでいたので、空いてる方の手を軽く持って握って、重ねて頭を優しく撫でる。
『大丈夫……?』
「──!」
余程緊張していたのだろう。
自分と変わらない年頃の子の言葉はしっかりと心に言葉が溶け込んだのか、みるみるうちにその子の目は泪に滲んで──。
「うわぁぁぁ──ん!!」
「パパぁぁぁ──!」
「ママぁぁぁ──!」
っと、緊張の溶けた後はそれまで溜め込んでいた感情が爆発するように泣き出してしまったのだった。
自分の手もギュッと強く握られてしまったので、頭を撫でる手も止めないで、泣き止むまで僕はただその子の頭を撫で続けるのだった。