未定⑤
「ほら、いらっしゃい──」
「本当に大丈夫かね?」
「えぇ、任せてくださいドルマンさん。それに私たちしか余裕のある者も居ないでしょう」
「だが、同じ年頃の……トオルくんだったかな──」
「大丈夫ですよ、うちのトオルは良い子ですから」
ある日の午後の一幕だ。
僕が立てるようになって言葉もある程度話せるようになった頃だ。
その日街から僕たちの田舎へと行商人の夫婦がこちらへ向かっていた最中で盗賊に襲われたらしい。
父が獲物を狩ってる最中でその現場に遭遇し、何とか娘さん──僕と変わらない年頃の女の子を何とか保護したとの事だった。
何とか両親が殺される際には視界に納めないようには出来たらしいが、声とかはやはり聴こえてしまったらしくショック症状と合わせて父から離れられなくなったらしい。
父は急ぎ、田舎のギルドへと事情を説明しにいき。
その後はギルドの人間が襲われた跡を見に行った際は凄惨な現場しか残っていなく、すべての積み荷は奪われた後だったとのことだ。
ギルドマスターと村長を勤めているドルマンさんが娘さんの処遇に悩んでる時に、父のトーリが男気を見せたのか面倒をみる旨を伝えたらしかった。
母も心が広いのは知っていたがそれを認める様子なのと、更にそんな父トーリの事を誇らしく思っているらしかった。
まぁ、僕も詳細を聞きながら同じく誇らしくなったのだけれども。
そんなこんなでこの日僕に妹? でも、歳は同じくらいのはず。
いや、同じにすると言っていたから同じなのだろう。
そして、誕生日も今日この日にすると言っていたので、今日より早く産まれた自分はお兄ちゃん──血は繋がってはいないけれども……家族が出来た日になった。