未定④
父はトーリ
母はカーラ
うん、覚えた僕偉い。
『トーリ……カーラ──』
「おおおおお!!」
「あら……」
僕が声を出せるようになってきて、言葉を口にすると2人は両手をあげて喜んでいた。
そして、その頃の僕は絵本にハマっていた。
えっ? 絵本? 子供だなぁ? だって?
ノンノン──絵本だからと言ってなめたらあかん。
絵本には文字が! 物語は史実を織り混ぜた冒険譚が!
何よりも時には国の広さを指し示すように色んな物語が溢れているんだ!
「トオルは絵本が好きなんだな!」
「また余裕が出来たら買ってあげましょうね」
トーリとカーラの声が僕の耳に入ってくる。
それに応じてワクワクもするっちゃ……する。
でも、分かった事もある。
ここは片田舎ではあるが近い場所にそれなりに大きい街があること。
この国? は今のところは平和らしいこと。
片田舎の家としてはそれなりに裕福らしいこと。
母のカーラは家事の合間に裁縫やらしていて、父は農作業やらたまに獲物やらモンスターやらを討伐しては……なんとギルドがあるらしい! 報酬を貰ってることがある。
いやぁ……ワクワクが尽きないね!
そして、そんなことを思いながらも絵本へと自分の目は落ちていくのだった。
(しかし良く思えば……)
このくらいの頃に神様だったのか──今にして思えばそうだったと判明したのだが。
お告げっぽいのが聞こえて来ていたな。
あれは僕を導く……いや、導いてはいたのだろうけれども、世界を把握するために僕は手となり足となり自然と動いてたのかも知れないと思い至るのだった。