未定35
『させない──!!』
空から降って来たように見せかけてオークの集団と皆の合間に入る。
そのまま前回のデミタウルスの件で気付いている、自分の魔法を這わせた刀剣で目の前の敵をなぎ払う。
見つけた──!
やはり貴様か──!
あぁ、今度こそ聞こえた。
しつこい邪神だったようだ。
今度はコボルトダンジョン……そこを活性化してリベンジらしい。
だいぶ大掛かりな事をしてくれる。
『大丈夫か──?』
「「えっ──」」
「はい! って、それよりもお前……」
「トオルか?」
『何を言って──俺はシエルだ』
あれ? なんかバレちゃってる……?
おっかしいなー?
とりあえず、疑問は後回しにして弾き飛ばしたコボルト集団を見る。
他の多数居るコボルトは瀕死の状態だが──やはり、こいつは別格か。
離れた方の本来のスタンピードのコボルト側もまだ戦っていて、こちらに増援を回す余裕は無さそうだ。
『お前たち──下がっていろ』
「い、いや? あの、トオル──?」
「下がろう」
シュンがこっち側に来るが、レイに引き止められて下がっていく。
『自分の身はある程度自分で守れるな?』
「うん」
レイが素直に頷くのを確認して目の前の敵に集中する。
ё邪神の手先デスコボルトジェネラル─魔族化最終進化済み
剣技 MAX
速度アップ 8
速度補正 7
タフネス 4
限界突破 5
魔剣を携えて、ジェネラルはこっちを睥睨している。
即座にペルソナが最新のスキルとスキルレベルに更新される。
問題はタフネスと限界突破か──。
ミノタウロスの時は一撃だったのを根に持っているのだろうか?
「フゴッ──!」
一瞬、消えたように見えたが──自分の目もとい
心眼 6
は動きを捉えては予測している。
未来予知 4
も重ねて発動。
斬激を予測してそして立ち回る──!
重い一撃を受け流す!
重い──!
だが、速度補正の影響か即座に次のモーションにジェネラルは映っている。
くっ──!
早すぎる?!
いや、違う──!
既に限界突破しているのか!
そうか──、そう言うことかよ──。
前回みたいに小手先比べは無しって事か。
なら──僕も応えない訳には──!!
どのみち土俵を同じくしないと勝てない闘いだ。
迷わず限界突破を──
(あっ……効果切れたらどうしよ?)
一瞬だけ、脳裏に掠めた疑問も限界突破の流れに流されていく。
『うぉぉぉぉ──!!』
誰の声? と思ったが自分の声だ。
当たり前だ限界を越えてるんだ。
そんな声も出るはずだ──じゃない! なんだこれ!
凄い勢いでパワーが溢れていくが──物凄い勢いで生命力が吸われてる気がする。
それさえも
生命力増強 4
生命力補強 4
混乱耐性 5
って、混乱耐性?!
そうか、薬にも毒にも──限界突破怖いじゃないか。
『くっ! だがっ!』
後ろにはレイが──皆が居る!
やるしかない!
さぁ、来い!
リベンジだっ!
──邪神の声が聴こえた気がした。
だが、ジェネラルに突っ込んだ僕にはもうそれを知覚する余裕は無くなっていた。