未定18
「うーん──」
午後は打って変わって僕はギルドに来ていた。
例の黒ローブ……エレメントローブを着て。
(どれも粒揃いだな──)
僕が貼り出されたクエスト依頼書を見てると──。
「おい! ルーキー? 最近好調だからって舐めるなよ?」
「そうだぞ! 最速C級だが分からないがCからはな! 大変なんだよ!」
「ブルッちゃったか? お兄さん達が一緒になってあげようか?」
「俺に──そんな手立ては要らない」
ё変化スキル 6
仮面を着けた僕は声を変えて応える。
「こいつ──! 舐めやがっ……ヒッ!」
立ち上がって僕を掴みあげようとした男の首もとへ鋭利になったローブがそこにはあった。
「あなたの方が半人前ね──どこか行きなさい」
「あぁ! くそっ! 覚えてろよ! シエル!!」
シエル──そう言って男は立ち去って行った。
そう、僕のこの姿の時は名前をあの後変えて、シエルとしたのだ。
『ありがとう、セーレさん』
「どう致しまして! シエルくんもガツンと言っちゃえばいいのよ!」
『まぁ、まだ俺もこんな年頃ですから……』
「っと、言われても仮面着けて黒衣装のシエルくんはハッキリ言って怪しいわよ?」
ははは──と笑って誤魔化す。
『何か良い依頼とか無いですか?』
とりあえず、誤魔化すように話題を振ると待ってました! とばかりにセーレさんは受付の裏から依頼書を取ってくる。
「普通なら余りおすすめしないけれども……本来はパーティー用だったりして、B級への足掛かりになりそうな依頼で──」
もったいぶって話しているが、B級昇格への必須条件にもなる討伐対象も居る依頼だ。
問題はパーティー用だが、普段からソロでパーティー用もこなしてるから、問題は無いだろう。
ただ、普通の受付嬢ならお勧めするのが悩むだろう。
実際セーレさんも悩んでいるし、だが──僕は知っている最速でC級になった僕にこの人は何かを期待してるのか元からチャレンジャーなのか……試練と称してクエストを度外視してお勧めしてくるのを。
「でも! シエルくんなら──行けるよね?」
(ほら、来た)
でも、僕にも渡りに船だ。
冒険者、モンスター問わず、僕はスキルを取得している。
普通ならモンスター専用のもだ。
理由は……ペルソナの恩恵だ。
本当に何でも吸収しては着けながらスキルを常時使用していると、ぐんぐんと本来の僕のスキル熟練度も上がっていっている。
そして何故かモンスター専用スキルも僕本来の方も取得している。
強い討伐対象=スキルの宝物庫だ。
両手を上げて喜びたくもなる。
『ありがとうございます、任せて下さい』
ちょっとキザっぽく言ってみると、セーレさん……どことなくポワンとしている。
「ハッ! ──はい! では受理します。気を付けて下さいね!」
ニッコリと笑顔で応えながら、改めてクエスト依頼書を眺める。
反映されたクエスト依頼は手の甲から意識すれば魔力を通して見れるのだった。
(魔法…様々だね。)