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未定16
「トオル……これを! 父さんのお古だが良い1品だぞ」
「はい──」
トーリの言葉にカーラは応えてポンッと空間から一振のショートソードを出す。
『あ、ありがとう──』
磨かれたそれは手に馴染んでいて、そしてとても嬉しくて……。
前回の盗賊の1件でスキルの熟練度が溜まったのか、剣技1として自分でも覚えていた。
これは渡りに船だと思うのだった。
「レイには私から……これを」
カーラはそういって取り回しの良い杖をレイに与えていた。
「ありがとう──お母さん!」
「──!」
レイの言葉に感激したのかカーラさんは涙が決壊してレイを抱き締めていた。
レイ自身、少しずつだがトーリとカーラを第2の父と母として受けれているのか、たまにお母さん、お父さんと言い始めていた。
「トオル、レイのこと頼むな」
『はい』
トーリから頭を撫でられる……心が暖かくなる。
そして、両親へと別れの挨拶を済まして僕たちは隣の街シルティへと向かうのだった。