未定15
「トオル……ごめんね」
『ん?』
隣り合ったベッドから自分のベッドへ入ってくるレイが居た。
「私怖かった」
『うん』
「トオルが居なくなっちゃうかもって、それも怖かった」
『うん』
「でも、トオルは強かった」
『うん』
「パパとママの事──分かるかな」
このパパとママというのは、トーリとカーラでは無くて……本当の。
『分からない、けれども意識が覚めたらドルマンさんが聞いてくれるって、そして僕に郵便を出してくれるって』
「うん」
『……』
「……」
『怖かったよね、ごめんね』
「──! そんなことない!!」
僕の怖かったの意味はあの場の僕の姿だろう。
でも、そんなことは無いと強く抱き締めてくるレイが居た。
そんなレイにどこか安心感を覚えてしまった僕が居た。
「前に、ね。見たことあるの──トオルがあの仮面をつけてるの」
『……!』
寝惚けてたんじゃ無かったのか。
「私ね、でも黙ってた。言ったらトオルが居なくなっちゃいそうで……、私黙ってるから…居なく、居なく──ならないで」
『──!』
しくしくとレイから涙を流してる音が聞こえてくる。
僕はそれを聞いて安心するのと、逆にそんなに追い詰めていたのかと思って恥ずかしくもなる。
そんなことは無いよ──と伝えるように自分もレイを抱き締めて頭を撫でるのだった。
「うん、うん──」
安心したのか、静かに寝息をレイが立てるのを聞いて、僕の意識も落ちていくのだった。