未定11
カタカタ──と馬車の揺れが背中に感じる。
僕とレイはあれからドルマンさん経由で隣街のシルティの学校へと推薦状を送って貰い、見事に入学を許可されて晴れて本日、この田舎から隣街の街として有数の大きさを誇るシルティへと向かっているのだった。
「トオル……」
『大丈夫だよ』
トーリとカーラの熱烈なお別れは一瞬だけでも寂しさを忘れさせてくれたが、やはり子供相応レイは寂しくなったみたいだった。
とりあえず頭を撫でてあげつつ落ち着かせる。
(それにしても……)
皆快く送ってくれた。
田舎だけれどもそれなりに人や、僕とレイと変わらずの同年代も居るのだ。
父と母は元々は冒険者をやっていたらしい。
そして、ドルマンさんが田舎の村長兼、ギルドマスターをやるにあたり、付き合いのあった2人はお誘いを受けて、田舎の村の警護も含めて冒険者を引退してドルマンさんと同じく越したらしかった。
それなりに腕利きだったようで、たまに2人から冒険譚を聞かされた僕とレイは目を耀かせていたものだった。
「な、なんだ! 貴様たちは!!」
ふと、そんな声が御者から聞こえる。
「──!!」
そして、同じくレイの身体が極度に震えるのは同時だった。
キィィーンと耳鳴りがする。
ё危険察知3
が反応しているみたいだ。
(まぁ、反応しなくても危険なのは分かるけれども)
「と、トオル……?」
立ち上がった僕に未だに震えてるレイは服の裾を掴む。
『大丈夫、ちょっと行ってくるね』
その手を軽く握って頭を撫でてあげる。
服を掴む手が緩んだ時に合わせてスッと離れて客車から降りるのだった。