試合開始は突然に
「なっ、…先生、無理だって!召喚してすぐのルータなんてー…危険すぎる!!」
「まあまあ。危なくなったらノアが止めてくれるでしょ。それに、どうせ週末には模擬試合もあるんだし、他の子もイメージが掴みやすくなるでしょ。」
全て人任せーいや、子供任せである。
この親は。
僕がやれやれとため息をつくとエミルはニヤリと笑い「よーし、じゃあみんな実践場に移動だー!」と指示を出した。
思えばこれが、すべての始まり
だったのかもしれない。
“模擬実践場”には特別な魔法印が施してあり、魔力を込め発動させると試合中に起こった怪我や致死に至る傷、粉砕した物まで試合開始前の状態に戻すという優れものなのである。
「それではこれより、リュカ・マクドネル、並びにアクア=マクミールのルータを始める。ルールはそれぞれ召喚獣を使って争い先に降参、もしくは戦闘不能になったものを敗者とする。両者、何か質問は?」
「ありませんわ!」と声を張り上げるアクアとは裏腹にリュカは気だるそうにまたひとつ欠伸をすると耳の横をかく。
「あー…と、召喚獣って必ずしも使わなきゃだめ?」
リュカの申し出にアクアは大きく高笑いすると「召喚獣でわたくしに負けるのがそんなにお恥ずかしいのかしら!」と声を上げた。
しかし彼女の挑発には目もくれず「何か訳ありか?」というエミルの言葉にリュカは苦笑いすると一言
「この授業飽きたって、飛んでっちゃった」
と悪びれることなく言った。
数秒の間。
後に僕の混乱だらけの「はぁーーーー?!」という悲鳴に近い叫びとともにアクアの嘲笑う声が聞こえてくるのだった。




