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オカマとバカのボコボココンビ

Act.5


Side スカーレット


水龍様にドラゴンの言葉でお別れを言えば、彼は嬉しそうに手を振ってくれた。ついでに好きだと言った花の香りのお茶も渡してくれた。そしてヒポグリフとグリフォンで空を駆けながら視界で捉えた都市。炭鉱都市・ヴァゼルン。この都市はヴァゼルン山脈に囲まれた要塞のような地形になっている場所で、同時に火山の街とも呼ばれている。ヴァゼルン山脈には魔法石を採掘する山、石炭を採掘する山、そして火山の三つが連なる。

発掘された魔法石や、石炭を火山の熱を利用して様々なものが作られる。

そして魔法具生成の聖地とも言われている。


風魔法でふわりと降りれば、ガズーもリブリンも飛び去っていった。多分、『迷いの森』に戻って狩りをするのだろう。


「スカーレット、入場手続きを済ませて、そのあとギルドに顔出しに行こう。」


「ギルドってことはオセ元気かね?」


「あのオカマなら元気じゃない?」


そんな他愛のない会話をしながら入場手続きの列に並んだ。一応、身分を明かせば、優先で入れてくれるが、それだと調査の支障になることもあるだろうから敢えて、その列に並ぶ。30分ほど待てば、手続きは終わり、そしてヴァゼルンの街に入っていく。先ほど、『迷いの森』ではぐれた所為か、グレンは私の手をしっかりと握っていた。


「あ、ギルドあった。」


「さっさとオセに会お……えっ?」


グレンの言葉を聞き終わる前に何かが凄い勢いで目の前を飛んでいった。人間らしきものは吹っ飛んで、そしてゴミ置き場に突っ込んだ。


「おい、ジャービス、今なんて言った?」


引き締まったふくらはぎ。その美脚はミニスカート。ふわふわの茶髪に緑の目。見た目は一回り、いや2回り大きい女。だが、先程のドスの効いた声は完全に男である。


「だから、オカマ」


その瞬間、もう一度、ゴミ置き場に突っ込んだ男が飛んだ。目にも止まらぬ速さで女装した男、オセ・アルガスがふっ飛ばしたのだ。


「オセにソレは禁句だよね」


「ジャービスは馬鹿だからしょうがないよ」


私の言葉に、すぐにグレイは呆れたように反応した。二人でそんなことを話していれば、ふっ飛ばされていた男と目が合った。


「あれ、グレンとスカーレットじゃん!」


彼はすぐに立ち上がった。ぴょんと手を使わずに立ち上がる彼はニコニコッと笑ってそのまま抱き着いて来ようとした。が、グレンがすかさず私を抱き寄せて、足蹴りする。そして彼は三度目のごみ置き場へ突っ込んでいった。


「スカーレットが汚れるだろ、触るな。」


思ったよりも低い声が上から響いて、思わず私が驚いた。こちらがビクッと反応するがグレンを見上げてみれば、ニコッと笑っていた。おい、今の声はどこから出たんだよ。と言いたくなるほど、顔と声にギャップがあった。


「久しぶりねグレン、スカーレット。ヴァゼルンに何の用かしら?」


コツコツ、とハイヒールの音を響かせて、ゆっくりと、こちらに近づいてきたのはオセ。相変わらず大きいが、ごみ置き場から立ち上がって来たシャービスはハイヒールを履いているオセと同じぐらい大きい。むしろオセよりも背は高い。金髪に青い瞳。髪の毛はバンダナで挙げられている馬鹿……ではなくアホなシャービスは最期の一撃で伸びてしまったらしい。


「『王命』だよ。この辺りの生態系を調査せよって。」


グレンが簡単な説明をすれば、オセは腕を組んで悩むそぶりをした。思い当たることがあるのだろう。


「気になっているほどではなかったけれど、考えてみれば、最近、鳥が良く逃げていくわね。」


「ふーん、まあ、調べるからいいんだけどね。オセ、悪いんだけど宿紹介して、ダブルベッドで、二人一緒に泊まれる宿。」


え、と驚いていればオセはニコッと綺麗な笑顔を浮かべた。この顔だけ見れば本当に美人だ。遠近法を使えば完全な美人だ。男だけど。


「スカーレットは私の家の客間で、グレンはシャービスの家の客間でいいかしら?」


「うん、ありがとう。絶対危ないから助かる。」


私の言葉に笑いかけて、そして頭を撫でてくれる彼、もとい彼女はオセ・アガレス。このヴァゼルンの街のギルド長であり、5番(シンク)数字持ち(ナンバー)である。


「シャービスの家は勘弁してもらいたいな。僕だって汚い家は流石にヤダよ?」


膨れるようにそう言ったのはグレンだった。ジッと見つめた先にいたのは伸びているシャービス。彼はシャービス・ベイン。彼もまた、7番(セブン)数字持ち(ナンバー)であった。


「……スカーレットに手を出さないなら考えてあげる。」


「はい、僕は手を出しません!……どちらにしても成人前に手を出す気はないよ?」


いやいや、嘘だろ。何回か未遂事件あっただろうが!!と叫ぶほど子供ではない。なかなか大変な事件であったが、毎回姉が助けてくれていた。


「まあ、いささか不安だけどいいわ、泊めてあげる。スカーレット、客間は鍵掛かるからいいわよね?」


その言葉に思わず首を縦に振った。オセの家であれば、最悪、助けてくれる人がいるというのは非常にありがたい。そう話した私たちはオセの家に向かうのだった。


シャービスはそのままごみ置き場に置いたままで。




今日の更新はここまでです!

とりあえず、続きはまた、書いたら上げます!

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