フェイク99 限界突破
「なんか今回のテスト難しくない? もっと楽勝かと思ってたけど昨日は結構苦戦したって〜」
「え〜新城くんも〜。やっぱそうだよね〜」
また新城の声が聞こえてくる。本当の事を喋っているのかはわからないが、言葉のままなら苦戦しているようだ。
俺は前回よりもスムーズに解けているので、テストが難しくなったという事は無いと思うけど、俺はこのまま頑張るだけだ。
今日も四時間のテストを集中して受ける事ができた。一教科だけ手間取ったが、後の三教科はかなりいけてるはずだ。
これで残るはあと一日。
「凛くん帰りましょう」
「ああ、帰ろうか」
「凛くん今日のテストはいかがでしたか?」
「一教科、ちょっと手こずったけど三教科はかなりできたと思う。葵は?」
「私も結構できたと思います」
葵の結構できたは、凄く良くできたって事だな。
あと一日だが、さすがにテストで消耗したのもあって身体が重い。
「それじゃあ今日も頑張るか〜」
「凛くん頑張る前に少し睡眠をとってください。顔色が少し悪い気がします」
「あ〜そうさせてもらおうかな」
「はい、お昼ご飯は作って冷蔵庫に入れておいたので、すぐ食べれます」
一体葵はいつ作ったんだ?
朝ごはんと一緒作ったのか? 手際が良すぎる気はするけど、葵は結婚したら本当にいい奥さんになりそうだな〜。
将来、葵と結婚する相手は羨ましい限りだ。
家に帰ってから葵とお昼ご飯を食べて、すぐに昼寝をさせてもらった。
十五時に起きるつもりだったが起きたら既に十七時になっていた。
「あ〜! 寝過ごした!、あぁ〜!」
「凛くん大丈夫ですよ。まだ時間は十分ありますから。それよりも疲れをとった方が能率が上がりますから」
「そうだな。それじゃあ早速頑張るぞ」
葵は既に起きて俺の部屋にいたので、俺の疲労度を見て気をつかって余分に寝かしてくれたのだろう。
葵は寝れたのか? いずれにしてもここまで俺に合わせてくれているのだから、俺が頑張らないわけにはいかない。
そこからは、ご飯とお風呂以外の時間は朝までしっかりと勉強できた。
前回の一夜漬けは、もうあれ以上はない限界の一夜漬けだと思っていたが、今回は前回と並ぶ。もしかしたら能率的には前回を超えたかもしれない。
自分で限界を作ってはいけない。自分で思っていた以上に俺の一夜漬けに対する適正は高いのかもしれない。今回限界突破した俺がいる気がする。あとはテストを受けるだけだ。
「あ〜太陽が眩しい……」
「凛くん、今日は少し曇り気味ですよ。大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫だよ! 俺頑張るから!」
そして少しテンションがおかしくなりながらも俺は最終日のテストを全て受け切った。
「終わった〜」
もうこれ以上は……無理だ。
「いや〜今回は難しかったな〜。みんなも難しかったよね。やっぱそうだよね。終わったしみんなでカラオケでもいこうか」
「え〜いくいく!」
「私赤点かも〜」
新城は最後まで調子が出なかったような感じだが、俺は全て出し切った。
これ以上は何も出ない。
これ以上出そうとしたら鼻血か脳みそが出てしまいそうだ。
俺の学年末テストは終わった。
偶然視界に入った本田が灰になっていたのは気のせいだろう。
頑張りすぎて目がおかしくなっているのかもしれない。
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