フェイク93 赤いリザードマン
リザードマンは炎が弱点なのか、かなり効いている。
俺も葵に続いて『エクスプロージョン』を放ち、リザードマンにダメージを与える。
このまま、押し切れる。そう思い更にスキルを連発するが、Dランクのモンスターがそう簡単に倒せるはずは無かった。
「キシャアアアア〜」
突如リザードマンが雄叫びをあげると、リザードマンの身体に変化が起こった。
リザードマンを覆う筋肉が盛り上がり、身体の大きさが一回り大きくなって、覆っている鱗が緑から赤色へと変化を見せた。
なんだ？ 強化スキルか何かを使ったのか？
「葵！」
「このまま押し切りましょう。確実にダメージはあります」
「わかった」
大きく赤くなったリザードマンから発せられるプレッシャーは明らかにさっきまでとは違う。
だが、葵の言っている事も正しいように思えたので、そのまま『エクスプロージョン』を放つが、リザードマンが俺の放ったスキルに向け剣を振るうと俺の放った爆炎が真っ二つに斬られてしまった。
「なっ……」
今まで、インプにレジストされたりミルオコレオに相殺されたりしたことはあったが、スキルによる攻撃が正面から斬って落とされたのはこれが初めてだ。
「凛くん! まだです『ウインドカッター』
驚きから動きが止まってしまったが、葵がすぐにフォローしてくれる。
風の刃がリザードマンの赤い鱗を削るが、普段の葵のスキルの威力を考えると明らかにダメージが弱い。
鱗が赤くなってから耐性が上がっているのは間違いない。
リザードマンがスキルを突っ切りこちらへと向かって来ようとする。
「『ライトニング』 まだダメか。硬い」
『ライトニング』でもしとめるまでには至らない。
やはり俺がDランクを倒すには至近距離からの『ボルテックファイア』しか無い。
「葵、フォローを頼んだよ」
「凛くん！？」
このまま時間が経過すれば、俺のスキル使用回数は減り不利になっていく。
俺が戦闘不能になれば、あの女性と葵の二人でリザードマン三体はどう考えてもキツい。
タイミング的にまだスキルを十分に使う事が出来る今しかない。
俺は強化セラミックの剣を強く握りしめて、リザードマンに向けて歩を進める。
「凛くん！ 危険です。凛くん！ ああっ、もう、わかりました。サポートします『ウィンドカッター』」
二体のうちの一体を葵が足止めしてくれている間に、もう一体に照準を合わせて走り出す。
「おおおおっ！『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』」
氷の槍で弾幕を張り赤いリザードマンとの距離を更に詰めるが、氷の槍は全てリザードマンの剣によって撃ち落とされる。やはり剣の威力が普通では無い。
近づく程にプレッシャーが増すが、ここで止まるわけにはいかない。
「まだだ！『ウィンドカッター』 『ウィンドカッター』」
あと数歩。
リザードマンとの距離を測りスキルを発動する。
『ボルテックファイア』
リザードマンの剣が届きそうになるギリギリの距離から渾身の炎雷を放つ。
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