フェイク92 リザードマン戦
「一人……ソロ?」
視界に入って来たサバイバーは一人だけ。しかも小柄な女性のように見える。
逃げる様子は無いので一般人ではなくサバイバーなのは間違い無さそうだが、Dランク三体にあの女の人一人ではキツい。
何かのミスか?
「葵! フォローにでるよ!」
「はい」
さすがに目の前の状況を見せられて放っておく事は出来ない。
未知のリザードマンだが三人でかかればなんとかなるはずだ。
俺は強化セラミックの剣を抜き、女性の下へと走る。
「フォローします!」
俺はモンスターへと向かって行く女性に声をかけるが、俺に気が付いた女性が驚いた顔をしているのがわかる。
「え〜っと君は……」
「討伐の帰りでたまたま見かけたんですけど敵はDランク三体のようです。お姉さんが一人なのを見てフォローに来ました」
「あぁ……そういう。ふふっ、そうか〜助けに来てくれたんだね。それじゃあせっかくだから手伝ってもらおうかな〜」
もっと切迫しているかと思ったが、女の人の態度は思った以上に普通で、この現場にも全然動じた感じは受けない。
「それじゃあ、俺達が二体を引き受けます。残り一体をお願いしていいですか」
「君たち二人でリザードマン二体を相手にするつもりなんだ。へ〜っ、思ったよりも強いんだね〜。わかったわ、それじゃあ私は一番奥のリザードマンを担当するから後はよろしくね」
「はい」
やはり、リザードマンを前にしても余裕を感じる。Dランク以上なのは間違いないと思うが、この人もしかしてもっと上位のランカーなのか?
とにかく今は目の前のリザードマンを倒す事が先決だ。
リザードマンを実際に見るのは初めてだが、大きさはオーガよりは小さく、見た目は人型ながら全身を褐色の鱗で覆われており、頭部はトカゲの特徴を色濃く残している。
手には俺の強化セラミック刀よりも一回り以上大きな剣を携えている。
近接戦闘を得意としているのがその風貌から見て取れる。
「『ライトニング』 どうだ効いたか?」
先程の戦いで『ボルテックファイア』を一度使用してしまっているので残数は二回。おそらくDランクのリザードマンにとどめをさせるとしたら『ボルテックファイア』なので、それ以外のスキルでギリギリまで削りたい。
「凛くんまだです。『ウィンドカッター』」
葵も俺に続きスキルを放つ。
『ライトニング』で動きの止まったリザードマンを風の刃が襲いかかり、表面の鱗を削りとる。
「硬いですね」
「いや、上手くいってる。この調子でいこう」
「はい」
初撃のやり取りで確信出来た。初見のDランクモンスターであっても葵とであれば十分やれる。
俺は更に『ライトニング』を放つが、もう一体のリザードマンもこちらへ向かって来たのが見えたので再び『ライトニング』を発動して足止めをはかる。
「これならどうですか?、『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』」
今度は葵がリザードマン二体に向けて爆炎を放つ。
「カァアアァ」
効いている。リザードマンが悲鳴と思しき声をあげた。
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