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フェイク81 二月十四日

今日は二月十四日だが一段と冷え込んで、学校に行くのが億劫になってしまう。いつものように葵に作ってもらった朝ごはんを食べてから一緒に学校へと向かう。

校門をくぐった辺りから、なんとなくいつもと様子が違う。

俺はボッチだが周りの空気が読めない鈍感系というわけでは無いので、周りの空気がなんとなく違うのは感じられる。

なんだ? なんとなく男子も女子もソワソワしているような変な感じだ。


「葵、今日どうしたんだろう? いつもと感じが違う気がするんだけど」

「凛くん、今日は……」


葵と話しながら歩いていると本田が追い越しざまに挨拶をしてきた。


「おぅ」

「あぁ」


本田との挨拶も結構慣れてきたが、本田の声の感じもなにか浮ついた様な印象を受ける。

教室に近づいたので葵と別れて自分の席へと向かう。

席に座ってから教室全体に目を配ると、男女共に変な感じがするが、特に男子の様子がおかしい気がする。

クラスの半分以上の男子がチラチラと女子の方を見ている気がする。

やはりおかしい。


「おぅ、山沖、お前はいいよな」

「え? なんの話?」

「は〜余裕だな。これだから……まあいいや。俺ももらいて〜」


珍しく、本田が俺に話しかけてきたと思ったら意味深なセリフを残して去っていってしまった。

気にはなったが授業が始まったので、とりあえず勉強に集中する。

あっという間に四時間目が終わりお昼休みを迎えるが、いつもならとっくに葵とお昼ご飯を食べている時間になっているのに、なぜか葵がやってこない。

遅いので連絡してみたが、やはり反応が無い。

葵に何かあったのだろうか?

葵抜きで食べるわけにもいかないので、自分の席でボ〜ッと待っているとお昼休みがそろそろ半分を迎えようとする時間になってようやく葵が現れた。


「凛くん、お待たせして本当に申しわけありません。時間がないので早速お弁当を食べましょう」

「あぁ、そうしようか」


ゆっくりしていると昼休みが終わってしまうので葵に促されるままお弁当を食べ始める。


「今日はどうしたの? 何かあった?」

「えっと……告白です」

「告白……あぁ告白」


このやり取り以前もあった。あれはクリスマスの時か。

あれ以来告白されたという話も聞かなかったので気にしていなかったが、相変わらず葵はモテ続けているらしい。


「凛くん、これよかったら食べてください」


葵が可愛くラッピングされた包みを手渡してくれた。


「これって……」

「手作りのチョコレートです。今日はバレンタインデーなので」

「あぁ……ありがとう」


葵の言葉で今日一日の違和感の正体が判明した。今日二月十四日はバレンタインデーだったんだ。

今までクリスマス同様、俺には全く関係の無い普通の日だったので、全く意識していなかったが、男子が女子にチョコレートをもらうイベントの日だ。

クラスや本田の不審な感じはチョコレートを貰いたいからだったのか。

それにしても、葵からチョコレートをもらえるとは思ってもみなかった。ほとんど毎日一緒にいたのにいつの間に作ってくれたんだろう。

小さい頃に母親から貰って以来のバレンタインチョコレートは葵の手作りチョコレートだった。

この時の俺は葵から教室で受け取る事に恥ずかしさもあったが、それを遥かに上回るほど嬉しかった。

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[一言] 自身に対する異性からの好意には鈍感系
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