フェイク78 雪空の勝利
『ライトニング』が落ちると同時に敵が健在だった時の為の時間稼ぎに少しだけ後方へと移動する。
雷が落ちた場所を確認するが、うっすらとモンスターらしき影が見えている。
「凛くん!『エクスプロージョン』
「そこかっ!『ライトニング』」
影に向け再び二人でスキルを放つ。
影が消えて無くなったので今度こそ倒せたようだが、前方への注意は切らさない。
目を凝らして前方を見るが、雪が強くなっているのか更に視界がわるくなって来ている気がする。
これで日が落ちてしまうと全く見えなくなってしまうので、どうしてでも早く終わらせる必要がある。
「凛くん、います!」
俺には見えないが、葵には見えているようだ。
「そこっ!『エクスプロージョン』」
葵が前方に向けてスキルを放ったので、俺も葵のスキルの発動を頼りにこうげきを開始する。
『ライトニング』
「凛くん! まだです! 『ウィンドカッター』」
葵のスキルにより一瞬視界が晴れ、その先の敵モンスターを視界に捉えることが出来た。
ジャガーマンか!
今の状況とは最悪ともいうべき相性の悪い敵だ。この悪天候の中、高速移動されると捉えることが困難になってしまう。
『ウィンドカッター』
俺も葵に続けて風の刃を放つ。俺の半減した刃では、葵ほど視界は開けなかったが、それでもジャガーマンの姿を捉える事は出来た。
あと何体いるのかわからないが出し惜しみしている場合じゃない。
「見えた!『ボルテックファイア』
「凛くんまだです。『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』」
葵も考えは同じようでスキルを連発するが、どうしてもワンテンポ遅れてしまう。
ジャガーマンはまだ健在だ。
「葵は『ウィンドカッター』で視界の確保を! 俺がしとめるから」
「わかりました」
どうしても連発するとタイムラグが出て、ジャガーマンのスピードに遅れをとってしまうので、俺は攻撃に専念して葵の視界を確保してもらう。
「凛くん、いきます!『ウィンドカッター』」
葵のスキルが正確にジャガーマンの居場所を切り開く。
「決まれ!『ボルテックファイア』」
俺は即座にスキルを発動してジャガーマンに炎雷を叩き込んだ。
「やったか?」
炎雷がジャガーマンに命中するところまでは見えたが、また雪によって視界が遮られてしまい消滅は確認出来ていない。
「凛くん、多分しとめたと思います」
「うん、あと何体いるんだろう?」
「わかりませんが、既に三体倒したのでいたとしてもそう多くはないと思います」
「そうだね」
その後しばらく臨戦態勢のまま前方に注意を払っていたが、モンスターが現れる事は無かったので、どうにか魔核を探し出し帰る事にした。
ただ帰りは、完全にロードサイクルを使う事が出来ず、雪の中を押して帰る頃になってしまった。
葵と並んで帰ったので辛くは無かったが、とにかく寒くて雪模様の中ではカイロも余り役に立ってはくれなかったので家に着くと同時に速攻でシャワーを浴びた。
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