フェイク67 レイドメンバー
「葵は、レイドとか格上のモンスターとかとのパーティ戦とか経験無いの?」
「無いですよ。私も最初の頃以外はずっとソロでしたし、集団戦自体の経験がありません」
「ずっとソロでここまでやってこれてるのがすごいな」
「いえ、なかなかパーティを組んでも上手くいかない事が多かったので」
「そうなんだ。葵だったら誰とでも上手くやれそうだけど」
「そんな事はないですよ。特に男性がメンバーにいると上手くいかないです」
「俺も一応男性なんだけど……」
「凛くんはもちろん例外ですよ。他の人の場合です」
確かに何か理由がないと、いくら強いとはいえ女の子がソロで活動する事は稀だろう。それをずっとソロでやってきたという事は、葵も今まで人に言えない様な苦労をして来たのかもしれない。
「凛くん、そろそろです」
「結局、今回って何人参加するんだろう」
「特に表示は無いので、現地で確認するしかありませんね」
組合もこんなイレギュラーな依頼をしてくるのだから、もっと細やかなフォローをしてくれてもいいと思うけど、もともと杓子定規なお役所的なところがあるのでこれも止む終えないのかもしれない。
目的地に近づいて来たので、自転車を降りてから歩いて向かうが、道中既に5人のサバイバーらしき人達がいた。
「君達も依頼を受けた口か?」
「はい、格上相手のレイドだと聞いています」
「じゃあ、一緒だな。俺達は既に挨拶を済ませてるんだが、俺達は、この三人のパーティでランクはEだ。俺が野崎でこっちが河野と井口だ」
「ああ、よろしくお願いします。俺達は二人のパーティです。俺が山沖でこっちが若葉です。俺はランクFでこっちがEです」
「Fか……」
「凛君はFランクですが、Eランクのモンスターも単独で倒せますのでご安心下さい」
葵が野崎さんの心情を読んでフォローを入れてくれるが、野崎さんの心配も当然だ。
Dランク以上のモンスターを相手にFランクでは普通は足手纏いにしかならないので、余程組合も人手の確保に困ったのだろう。
「俺達も二人組で俺が相谷でこっちが東山だ。ランクはEだ」
挨拶してくれたパーティは二人組で俺たち同様男女のペアだ。
年齢もそう変わらない様に見える。
「俺達が最後ですかね」
「恐らくそうだろうな。この七人で臨めという事だろうな」
「敵の確認はしましたか?」
「ああ、もちろんしてある。Dランクのロックタートルと、ギガントオーガが一体。それにEランクモンスターが確認できるだけで三体だ」
「Dランクが2体いるんですか………」
「そうだ」
「皆さんはDランクのモンスターと戦った事はあるんですか?」
「いやうちのパーティは無い」
「こちらも、戦っているのを見た事は有るが実際に戦うのは初めてだ」
「それじゃあ、みんな初めてなんですね」
「そうなるな。とりあえず俺達と相谷のパーティがDランクにあたるからEランク三体は任せてもいいか?」
「はい、問題ありません」
この野崎という人は色眼鏡無しで冷静に状況判断してくれている様な気がする。
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