フェイク61 救援要請
俺は葵の横に立ち葵に近づいて来るモンスターに向かって今度は『アイスジャベリン』を放つ。
「凛くん!」
「時間がかかってごめん。なんとか倒せたよ」
「いえ、大丈夫です。信じているので」
なぜか、葵からは過剰なほどの信頼を寄せられているのを感じるが、絶対にこの信頼を裏切りたくない。
その後二人でモンスターとの間合いを図りながらスキルを発動し残りのモンスターを全て倒しきる事が出来た。
「今までで一番数が多かったな」
「私もこの数を相手にしたのは初めてですが、凛くんと一緒だったので落ち着いて戦う事が出来ました。スキルにもまだ余裕がありますし上手くやれたのではないでしょうか?」
「まあ、そうだけど、俺としては余裕があんまり無かったよ。あのインプだけど、多分スキルを使ってきてたんだ。防御系のスキルだと思うけど、スキルによるダメージが極端に効き難くなってた」
「あんな見た目でもやはりインプですね。凛くんの『ボルテックスファイア』までレジストしてしまうなんて想定外です」
「逆にスキル以外の物理攻撃には、ほとんど耐性が無かったみたいだから、最後はナイフでの直接攻撃で倒したんだ。葵も念のためにナイフを使える様になった方がいいかもしれない」
「正直私がモンスターとナイフで戦うのは難しい気がします」
「まあ、普通そうだよな。男の俺でも勇気いるし。じゃあせめてスタンバトンみたいな力が無くても敵を無力化できる様な武器を常備しといた方がいいと思う。あれが二体出ると葵が危険だから」
「はい、それじゃあ、お正月が明けたら一緒に買いに行ってもらえますか?」
「もちろんいいよ。でも、それまではこの前渡したナイフを護身用に必ず装備しといてね」
「はい、わかりました」
インプのあの能力は、肉体派では無い俺達二人にとっては驚異だ。特に白兵戦の経験が全く無い葵にとっては天敵に近いものがある。
「それじゃあ、魔核を拾って帰ろうか」
「はい」
今回の魔核はEランクのものが二個Fランクのものが六個Gランクの魔核が五個だった。
都合一三体ものモンスターを倒した事になり、合計四十万円以上になった。
一人あたり二十万円以上だ。
正月の朝から頑張った甲斐がある。俺にとっては大きな大きなお年玉になった。
全ての魔核を回収してからロードサイクルに跨がり帰路についたが、移動している最中に今までに聞いた事のない音が端末から鳴り響いた。
『ピロッピロッピロッピロッピロッ』
鳴り止まない端末の音に自転車を止めて確認する。
「葵、この音ってなに? 俺こんな音を聞くの初めてなんだけど」
「これは、近くにいるサバイバーからの救援要請です」
「救援要請って事は、他のサバイバーがモンスターの討伐に失敗したって事か」
「もしくは、今戦っていて押されていると言う事ですね」
「俺達に要請が来たって事は近いんだよね」
「はい、自転車で5分程の距離だと思います」
「う〜ん……。これって受けないといけないのかな」
「必須ではないとは思いますが、断る場合はもっと遠くにいるサバイバーに依頼が回される事になります」
救援要請なんか初めてなので、それだけ切迫していると言う事なのだとは思うが、問題は俺のスキル使用残数だ。先程の戦いで殆どのスキルを使い果たしてしまっており、あと使えるのは『アイスジャベリン』二回と『ウィンドカッター』が二回だけだ
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