フェイク42 二人の勝利
先程『ファイアボール』は全く避けなかったのに『ウィンドカッター』はジャンプして避けた。もしかしたら本能的にダメージを負う事を理解したのかもしれない。
もしそうであるなら、風系のスキルに弱いか『ウインドカッター』以上の威力を持つスキルであればダメージを与えられると言う事だ。
俺は再び『ウィンドカッター』を放つが完全にタイミングを見切られており先程同様ジャンプで躱された。
いまだ!
俺は空中姿勢のオーガに向かって『ライトニング』を放つ!
「これで決まれ! 『ライトニング』」
「ガアアアァアッツツ!」
空中姿勢で身動きの取れないオーガはなす術なく『ライトニング』の餌食となった。
「まだだっ!『ライトニング』」
ダメージを受け蹲っているオーガに向けて二発目の『ライトニング』を放つ。
「グッゥウウウウア〜」
二発目の『ライトニング』も動きの鈍ったオーガをしっかりと捉えて着実にダメージを与える。
全身を雷で焦がし完全にグロッキー状態になって膝をついているオーガに向けて、今度は『エクスプロージョン』を使用上限まで連続でお見舞いしてやった。
全ての爆発が終了すると同時にオーガもその姿を消した。
「やった……」
前回のトロール戦よりも若干ではあるものの余力を残す形で勝利する事は出来たが、やはりEランクのモンスターは手強い。
特に『ファイアボール』は全く効果を発揮しなかったので、今後は何かしら対策を考える必要があるだろう。
オーガの消失を確認してからすぐに葵を探すが、少し離れたところでまだ交戦中だった。
未だジャガーマンの動きを完全には捉え切れていな様なので俺も葵のもとに走って行き戦闘に加わる。
「葵、俺が足止めするからとどめは頼んだ」
「凛くん……。私の方が助けられてしまいましたね。よろしくお願いします」
ジャガーマンが激しく移動を繰り返しているので、動きを限定すべくスキルを発動する。
『アイスジャベリン』
葵がこれだけ追い回して当たらないのだから、俺の攻撃が当たるとは思っていない。
俺の役目はジャガーマンの行動範囲を制限出来ればいいのでジャガーマンの体の右側を意識的に狙い、左方向への回避を促す。
二発目の『アイスジャベリン』を同じ様に放った時点で俺の意図を把握してくれた葵は、僅かな時間差で『アイスジャベリン』の二メートルほど左側に向かって『エクスプロージョン』を放った。
『アイスジャベリン』を避けたジャガーマンは『エクスプロージョン』の爆発に向けて飛び込む形となり、瞬時に火ダルマとなった。
火ダルマになって暴れ狂うジャガーマンに向けて葵がとどめの『ウインドカッター』を放ち勝負は決した。
「倒せたけど、どっちも強かったな」
「はい、凛くんのお陰で助かりました」
「それはいいんだけど、あのジャガーマンって葵でも捉えきれないなんて、動きが速すぎるだろ」
「はい、私も戦うのは初めてだったので上手く倒せませんでした」
「えっ! 葵、あのモンスターと戦うのは、初めてだったのか?」
「はい、そうですよ。もちろん知識としては知っていましたけど」
「じゃあ最初に言ってくれれば良かったのに」
「どちらにしても、私が担当する方が良いと思ったんです」
まあ、葵の言っている事に間違いはないが、交戦前は明らかに慣れた感じの余裕感を醸し出していたはずだ。それが初見のモンスターだったとは、やはり葵はどこかズレているのだろうか。
まあ、俺とパーティを組んでくれている時点で多少なりともズレているのだとは思う。
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