フェイク39 Eランクの値段
スキルを連発してかなりのダメージを与えたはずだがまだ倒せない。
「これだけやってまだダメなのか……耐久力あり過ぎじゃないか?」
『エクスプロージョン』を撃ち尽くしたが、トロールは未だ動いている。
上半身中心に狙っていたので、顔はダメージを受けてグチャグチャだが、流石はモンスターと言うべきなのだろうか、驚異的な生命力で未だこちらに攻撃する為に向かって来ている。
圧倒的に押しているが、この巨体の攻撃を一撃でも受けてしまうと状況は一転してしまうので、徹底して距離を保つ。
とにかく足を止めずに下がりながらスキルを発動し続ける。
恐らくこの巨体に『ファイアボール』は効果を発揮しないだろう。ファイアボール以外のスキルでしとめきるしかない。
「これならどうだっ。『ウィンドカッター』」
俺は新しく使える様になった葵の模倣スキルを発動してトロールの足下を狙う。
不可視の風の刃がトロールの足を切り刻む。
俺は『ウインドカッター』を足元に集中させる事で敵の動きを完全に奪い去る事に成功し、トロールが大きな音を立ててその場に倒れ込んだ。
俺は気を抜く事なく、トロールに近づく危険を冒さずその場から『アイスジャベリン』を発動して無防備になったトロールの脳天に向かって撃ち込んだ。
三発目の『アイスジャベリン』を撃ち込むと同時にトロールはその場から消滅し、魔核を残した。
「なんとか倒せたけど、流石Eランクのモンスターだけあって、耐久力が凄かったな」
「凜くんお見事です。初見のEランクモンスターをレベル7で倒す事など普通は考えられません。凜くんにはまだまだ余裕があった様に見受けられましたし、完勝ではないでしょうか」
「そんな事は無いよ。葵は俺の事買い被りすぎだよ。トロールに一撃でも、もらわない様に神経集中してたから、結構いっぱいいっぱいだったんだ。余裕なんか全然無かったよ」
「自己分析がしっかり出来ていると言う事は、それだけ余裕があったと言う事です。これで次からは二体まではEランクのモンスターを相手に出来そうですね」
次も相手にするモンスターがトロールなら、特別イレギュラーな事が無ければ、経験値を得た分今回よりも上手く対応する事が可能だと思う。
今回は初見だったので、とにかくスキルの連発で押し切ったが、次回からは今回の戦闘を元にもっと上手くモンスターを倒せると思う。
俺は落ちている魔核を拾い上げてみるがFランクのものよりも色が濃くしかも大きい。
「葵、このEランクの魔核ってどのぐらいの金額で買い取ってもらえるのかな?」
「そうですね。大体一個で十万円ぐらいです」
「十万円か。流石に高額だな」
「ですが、討伐難度も高いので、金額だけでしたらFランクのモンスターを複数倒した方が効率はいいかもしれませんね」
「確かにそれは言えてるかもな。一人で一度に複数のEランクモンスターを倒すのは難しいだろうし」
魔核一個で十万円とはとんでも無い金額だが、このレベルのモンスターを倒す労力とリスクを考えると決して効率的とは言えない気がする。
今回はトロール一体だけなので二人で分けて一人五万円ほどだ。
一回の討伐で五万円ならかなり稼げていると思うし、次からは二体までの依頼を受ける事になるので更に収入は増えると思う。
お金はいくらあっても困る物ではないと思うが、今までこんな大金を稼いだことが無いので正直これ以上あっても何に使えば良いか全くイメージ出来ない。
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