フェイク32 一緒に登校
部屋に戻ってからは、戦いの疲れもあって熟睡出来たが次の日の早朝にインターホンが鳴り目が覚めた。
「う、う〜ん。今何時だ?」
手元の端末を確認すると時間は朝の6時だった。
誰だ?こんな時間に。
「は〜い。どちら様ですか?」
「おはよう。葵です」
やばい、完全に忘れてた。そういえば今日の朝ごはんを作ってくれる事になっていたんだった。
俺は慌てて玄関まで行って扉を開いた。
「おはよう」
「はい、おはようございます」
そこには既に制服姿に着替えた葵が立っていた。
「はやいね……」
「普通ですよ。ご飯を作ろうと思ったら遅いぐらいです。それに調理器具と炊飯器がこちらなので」
「あ、あああっ、ごめん。そうだった」
言われて気がついたが昨日この部屋で料理してもらったので調理器具が全部ここにあるんだった。
葵に部屋に入ってもらうとすぐに料理にとりかかってくれたが俺も完全に目が覚めたのでいつもより早いが身支度を始める。
身支度を終えてしばらくすると葵が朝ご飯をテーブルに並べてくれたが昨日に劣らず今日も美味しそうなご飯が並んでいる。
「それじゃあ、いただきましょうか」
「あ、はい。いただきます」
やはり葵の作ってくれたご飯は絶品だ。朝からこんなのが食べられるとは未だに信じられないが、これも明日で終わりかと思うとちょっと寂しい。朝ごはんはまだ二日しか食べていないのに人間慣れって恐ろしいな。
「そういえば凛くん、明後日から期末テストですけど、お勉強は進んでいますか?」
「え?いや、まあ、なんて言うか……それなりに?」
「凛くん、失礼ですがもしかしてあまり勉強して無かったりしますか?」
「うっ……まあ、そうです」
「やっぱりそうなんですね。じゃあ今日からテスト期間中は一緒に勉強しましょう」
「俺が葵と一緒に勉強? でも、邪魔になるんじゃ」
「凛くん、今日から一緒に帰りましょうね。帰ったらすぐ一緒に勉強です。いいですね」
「はい」
有無を言わせぬ、妙な迫力を感じる。
葵は普段は天使そのものだが、パーティ結成を申し出て来た時といい、時々妙に押しが強い時がある。こうなると俺にはどうしようもないので「はい」と言う以外の選択肢は無い。
学園に行く時間になり、二人で部屋を出るが、どうやら葵も一緒に行くらしい。
当然目的地も到着時刻も同じなので一緒に行くことが合理的ではあるが、これって大丈夫なのか?
俺は全く問題無いが、学園のアイドルたる葵が俺なんかと一緒に登校して悪い噂でも流れたら大変だと思うが……
「葵、本当に一緒に行くの?」
「当たり前じゃないですか」
「そう………」
まあ、葵がいいと言うのだからいいのだろう。それから2人で並んで学園まで歩いて向かう。
徐々に同じ学園の生徒が増えて来たが、思った通り、なんとなく視線を感じる気がする。
あからさまに凝視されたりしているわけではないが、チラチラと普段感じ無い視線を感じる気がする。
まあ、葵は普段から目立っているので俺と一緒に通学していなくても普段からこの程度の視線を向けられているのかもしれない。
そのまましばらく歩くと学園に着いたので、葵と別れて自分の教室へ向かう。教室では特に視線を感じる事も無く、いつも通りに過ごすことが出来たが、それも昼休みまでだった。
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