フェイク30 エクスプロージョン
少し準備に時間を取られたものの、移動は思いの外スムーズだったので端末に通知が来てから二十分程で現場に到着することが出来た。
「それじゃあ行こうか。念の為にいつでも逃げられる様にしておいてね。それと絶対無理はしないで。それと前には出過ぎない様に。それと……」
「凛くん。大丈夫ですよ。気遣ってくれるのは嬉しいですけど、私もそれなりに経験を積んでいますから」
「……………っ」
やってしまった。
葵の事を絶対に危険に晒してはいけないという気持ちがはやってしまったが、よく考えてみると彼女は俺よりも経験豊富な上位サバイバーだった。
余計な事を言ってしまったかもしれない。
恥ずかしい……
「でも、ありがとうございます。うれしかったですよ」
そう言って柔らかな笑顔で葵が微笑んでくれたので、俺の緊張も解れた。
今気づいたが、どうやら正規パーティでの初めての戦闘を前に俺が緊張してテンパってしまっていたらしい。だが葵の一言と笑顔で肩の力も抜けていつも通りにできそうだ。
葵と並んで進んでいくとオークが五体群れをなしていた。
Eランクの葵と組んだ事で、俺もパーティとしてEランク相当の依頼を受ける事が出来る様になった。メンバーが二人いるのでFランクのモンスターであれば5体まで受けられる様に設定しておいたのだ。
数は前回と同じだが、万全な状態であれば問題無くこなせる筈だ。
「それじゃあ行くよ」
オーク五体は俺と葵を認識した様で五体共が巨体を揺らしながらこちらに向かって来た。
巨体といっていいオークが五体一斉に向かって来るとかなりのプレッシャーで正直怖い。
「消えろ!『ライトニング』 『ライトニング』」
いつもの様に『ライトニング』を連発するが、一発目が命中して一体目が消滅してもオークは止まる事なくスピードを上げて向かって来たせいで二発目が外れてしまった。
まずいな。数が多いので焦りすぎたか?
「凛くん私もいますから焦らなくても大丈夫です『エクスプロージョン』」
すぐ様隣にいた葵がスキルを発動して前方に爆発が起きる。
『エクスプロージョン』は同じ炎を発生する『ファイアボール』と違い、飛んでいくのではなくその場所が爆発する感じだ。
威力も『ファイアボール』よりも上で、より広範囲にダメージを与える様に見えるが、近接で交戦状態に入ったときは、前回見た時もそうだった様にピンポイントで敵のみを倒すにはコツがいるかもしれない。
爆発により勢いを削がれたオークの集団が立ち止まったので一気に攻め立てる。
「ああ、助かったよ、葵。『エクスプロージョン』 『エクスプロージョン』
俺も身につけたばかりの『エクスプロージョン』を連発する。
葵のオリジナルにはかなり見劣りするが、人型の敵を倒すには丁度良い威力になっている気がする。
結局俺の使用回数上限まで『エクスプロージョン』を撃ち終わったと同時に戦闘も終了した。
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