フェイク162 実戦
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結局葵の両親は、食事を終えるとホテルへと向かい、葵の部屋に泊まる事はなかった。
「今日は本当にありがとうございました」
「いや、こっちこそご飯も奢ってもらったし、スキルまで見せてもらって、色々してもらいすぎで申し訳ない感じだけど」
「そんな事ないです。パパとママも凛くんに会えてすごく喜んでいました」
「そうかな、そうだといいんだけど」
色んなことがあって疲れてしまったので、部屋に戻ってからはいつもより早く眠りについた。
翌朝いつものように目が覚めて起き出すと、特に身体に変調をきたしている様子もない。
弦之助さんが言っていた『瞬光』の副作用を心配していたが、どうやら杞憂に終わったようでどこも痛くない。
朝の支度をしていると、葵が部屋にやってきた。
「葵、おはよう。今日はどうするの?」
「パパとママは久しぶりの日本なので、今日はどこかに行ってくるそうです。なのでお勉強ですね」
「ああ、そうなんだ」
パパとママがこないと、いつも通り勉強か。
まあ、勉強がいつも通りという発想になっている時点で、自分がかなり変わってきているといえるかもしれない。
いつものように葵の作ってくれた朝ごはんを食べて早速勉強をはじめる。
「凛くん、この調子なら二年生のテストも楽しみですね」
「あ、ああ、そうだね」
テストが楽しみ。
残念ながらまだ、その境地には達していないので、自分では結構変わったと思ったけど、まだまだかもしれない。
お昼過ぎまで勉強して休憩しているとタイミング良く端末が鳴った。
『ピピッ、ピピッ』
「葵、依頼が入ったみたいだ。準備して向かおう」
「はい」
勉強しながらも今日依頼が入るかと思いずっと気になっていた。
『瞬光』のスキルを実戦で試してみたい。
弦之助さんの言うようにこのスキルを使いこなすことができればもっと強くなれるかもしれない。
可能性に期待を膨らませながら依頼が入るのを待っていたのだ。
すぐに装備を整えて葵と一緒に現場へと向かう。
「凛くん、今日の現場は結構距離があります。三十分近くかかるかもしれません」
「わかった。出来るだけ急ごう」
いつもより距離があるということは、お正月と一緒で春休みになったので、学生のサバイバーの稼働率が落ちているのかもしれない。
そうなら、それだけ依頼が増える可能性があるので俺にはありがたい。
普段よりも少しスピードを上げながら現場へと向かうが、既に結構な時間が経過しているので、被害が拡大しているかもしれない。
「凛くん、その先のようです」
「わかった」
俺たちはロードサイクルから降りて、慎重に現場へと向かう。
「あそこか!」
向かった先にはグレムリンが三体とミルメコレオが二体暴れているのが見えた。
「またミルメコレオですか。厄介ですね」
「葵、今日は俺にまかせてくれないか」
「凛くん、五体ですが大丈夫なのですか?」
「ああ、やってみないとわからないけど弦之助さんのスキルをモンスター相手に試してみたいんだ」
「わかりました。危なくなったらすぐにフォローします」
「頼んだ」
俺は、ひとりでモンスターたちに向けて歩き出す。





