ファイク101 次の目標
「葵、俺今回のテストで二十一位だった。葵のおかげだよ」
「いえ、凛くんが毎日頑張ったからです。この調子なら二年生では十位以内も狙えそうですね。さすが凛くんです」
「え!? 十位?」
「はい、凛くんの前回からの伸びがすごいので、あと少しですね」
「それは、葵の助けがあったからで……」
俺が学年十位? 葵、それはさすがに無理なんじゃないか? 今回だって俺的には既に限界突破を果たした結果なのに。もしかしてこれって達成しないといけないやつなのか?
葵の顔をうかがうが至って真面目な顔だ。
わかってはいた。葵はこの類の冗談は言わない。
「それはそうと葵は、テストどうだったんだ?」
「私は今回二位でした」
「二位はすごいな。それより葵より上がいる事もびっくりだけど」
「今回は私もかなり頑張りましたので、二位は少し悔しい部分もあるのですけど今の実力なので仕方がありませんね」
二位で仕方が無いっていう葵はやっぱりすごいな。それにしても俺が十位……全くイメージが湧かない。
まあ次のテストまではまだ時間があるので、その時考える事にしよう。
「ところで葵、春休みってどうするの? モナコに行ったりするのか?」
「それも考えてはいるのですけど、パパとママがこっちに来るかも知れません」
「来るって日本に?」
「はい、パパとママが凛くんにも、きちんとご挨拶したいと言っていましたので」
「俺に挨拶……」
普段これだけお世話になっているのだから葵の両親に挨拶するぐらい当たり前だが、考えるだけで緊張してしまいそうになる。
「葵のご両親ってどんな人なの?」
「二人ともフランクで優しいですよ。きっと凛くんとも仲良くなれると思います」
「そうだといいけど」
「凛くんの事はよく話題にのぼるので、二人とも今から待ち遠しいみたいです」
俺のいないところで俺の話。一体どう伝わっているんだろう。葵の事だから悪口とかはないと思うけど、本当に大丈夫なんだろうか。
仲良くしてもらえるとありがたいが、嫌われるようなら葵とのパートナー関係にも影響が出てしまうかもしれない。
いずれにしても、俺には春休みの予定は何も無いので葵がいないようなら、久々にソロで活動するつもりでいる。
葵と一緒に歩いて家に戻るとすぐにサバイブに反応があった。
『『ピピッ』』
「お昼ご飯くらいはゆっくり食べたかったけど、こればっかりは仕方ないな。行こうか葵」
「はい、準備してすぐ向かいましょう」
俺はすぐに装備を整えて部屋を出る。
アンダーアーマーの装着も慣れてきたので、最初よりかなり短時間で着れるようになってきた。
部屋を出ると既に葵が準備を済ませて待ってくれている。
「それじゃあ行こうか」
「はい」
ロードサイクルにまたがってモンスターのいる場所へと向かうが、三月になりかなり気温が上がってきているのとアンダーアーマーが防寒の役目も果たしているのでかなり快適だ。
依頼なのでこう言うと怒られそうだが、葵と二人でサイクリングしているみたいで、俺はこの移動の時間が結構気に入っている。
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