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魔王が存在する異世界に転生したけど、勇者は存在しないようです。  作者: 玄野
第一章 異世界に転生しました。
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第五話 恩寵がランクアップした。

メリーナが恩寵を得た日から、俺とメリーナは二人でレベル上げを続けた。俺は手刀、メリーナは出来るだけ小さいファイアを出来るだけ長続きさせるという方法で。


特大の炎を一発撃つよりかは低いが、この方法でも経験値がそこそこ入る事が分かった。魔力制御の訓練にもなるようで、炎はどんどん小さくなり長続きするようになっていった。それに加えて、出現させた炎を自由に操る事が出来るようになっていた。




それから1年が経ち、俺もメリーナも7歳になった。俺の《剣の扱い》とメリーナの《火魔法の扱い》のレベルが10になろうとしていた。


「もうすぐレベル10だ。1つランクが上の恩寵が得られるかもしれない。」


今日もメリーナと一緒にレベル上げをしていた。俺の方は、最近はもう、両腕を交互に振って素振りを行なっていた。傍から見ると両手でチョップを繰り返す少年というシュールな光景だ。・・・メリーナにもそう思われているかもしれない。


メリーナの方は10個以上の炎を大きさも動きも自由自在に操っている。その光景はまさに圧巻の一言だ。自分の地味なレベル上げと比較してその余りの差から羨ましさで思い悩んでいた時期もあった。正直、メリーナの方が俺よりもよっぽど異世界無双できると思う。




しばらく素振りを続けていると、頭の中に声が響いた。


『《剣の扱い》のレベルが上がりました。《剣の扱い》が《剣の心得》にランクアップしました。《剣の扱い》が《剣体の扱い》に派生しました。』


「ん?ランクアップに派生?どういうことだ?」



名前:クロト

恩寵ギフト

《ルインノールの基礎知識》 ランク— レベル— —/—

《剣の心得》 ランク2 レベル1 0/100

《剣体の扱い》 ランク1 レベル1 0/100

(《剣の扱い》ランク1 レベル10 —/— )



確認して見ると新しい恩寵が二つ増えていた。


「クロト、どうしたの?」

「《剣の扱い》がレベル10になってランクアップと派生で二つ新しい恩寵が増えたんだ。」

「すごーい。さすがクロト!二つも恩寵が増えるなんて!」

「うーん、二つも恩寵が増えるなんて俺も予想外だよ。効果を確認してみよう。」



【恩寵:剣の心得】

主に剣や刀といった刃物などを使いこなすことができる。

また、副効果として、この恩寵の対象となる武器を装備している時、身体能力が上昇する。

《剣の扱い》をレベル10にするとランクアップしこの恩寵を得ることができる。



「《剣の心得》はそのまま《剣の扱い》の上位互換か。《剣体の扱い》は・・・、情報が出てこないな。《ルインノールの基礎知識》には情報が載っていない恩寵なのか・・・。とすると一般的にはあまり知られていない恩寵ということか?()()ということは体を剣として扱うことが出来るということなんだろうか。手刀でレベル上げをしたから取得できたのか・・・?」


うんうん唸ってしばらく考え込んでいたが、よく分からなかったので検証してみることに。辺りに転がっている細い枝を拾って手刀で切ってみた。


「切り口がまるで刃物で切ったみたいに綺麗だ・・・。それに手の方にもほとんど抵抗を感じなかった。」


どうやら、手刀が本当に刃物のようになったようだ。


「経験値の方はどうかな。」



名前:クロト

恩寵ギフト

《ルインノールの基礎知識》 ランク— レベル— —/—

《剣の心得》 ランク2 レベル1 1/100

《剣体の扱い》 ランク1 レベル1 1/100

(《剣の扱い》ランク1 レベル10 —/— )



恩寵を確認してみると、剣の心得剣体の扱い共に経験値が1増えていた。


「経験値もちゃんと入ってる・・・。今日からはこれでレベル上げだな。」


俺は、枝を拾っては手刀で切り、枝が短くなったら新しい枝をまた切るという作業を繰り返した。また地味な作業の繰り返しかと溜息をつきながら横を見やるとメリーナが固まっていた。


「どうした、メリーナ?」

「クロト!クロト!恩寵のレベルが上がって、三つも恩寵が増えたよ!」


それを聞いて今度は俺の方が固まった。恩寵が三つも・・・。や、やっぱり俺よりもメリーナの方が・・・・・・。いや、考えるのはよそう・・・。


「す、すごいぞ、メリーナ!さすがメリーナだ!」


俺は動揺を隠しつつメリーナの頭を撫でながらそう言った。


「えへへ、そうかなぁ。」


メリーナのだらしない笑顔を眺めていると少し和んで動揺が治まってきた。


「どんな恩寵なんだ?」

「えっとね、《火魔法の心得》と、《連弾魔法の扱い》と、《魔力制御のみょう・・・?》の三つ!」


火魔法の心得は火魔法の扱いの上位互換だろう。連弾魔法の扱いは・・・、複数の炎を操っていたから得られたのかな。魔力制御のみょうは・・・、妙・・・だろうか、妙技とか言うし。メリーナの魔力制御がかなり上達した証だろう。どうやら俺が指示した練習方法は間違っていなかったようだ。



【恩寵:火魔法の心得】

火属性の魔法を使いこなすことができる。

また、副効果として、火属性魔法の威力が上昇、魔力消費が減少する。

《火魔法の扱い》をレベル10にするとランクアップしこの恩寵を得ることができる。



【恩寵:連弾魔法の扱い】

連弾魔法を常人よりも上手く扱うことができる。

また、副効果として、弾を撃ち出す魔法を連続して打つ場合、魔法の威力が微上昇、魔力消費が微減少する。



《ルインノールの基礎知識》で調べたところ、《火魔法の心得》、《連弾魔法の扱い》はだいたい想像通りだった。《魔力制御の妙》については載っていなかった。これも一般的な恩寵ではないのだろう。


「ふむ。よし、メリーナ。次は新しい方法に挑戦してみよう。」

「え、なになに、どういうの?」


俺は、メリーナが魔力制御に関する恩寵を得られたことで、その方面に関しては十分だと考え、違う方向性で力を伸ばすことを考えた。それは、火魔法の質を向上させる方法だ。


俺はメリーナに、火について、モノが燃えるという現象について詳しく説明することにした。火をもっと高効率で発生させる事ができれば、魔力の節約になり、かつ高威力の魔法を放つ事が出来るはずだ。


だが、俺は別に前世で化学が得意だったわけでもなく、ましてや相手は七歳児だ。空気中には窒素やら酸素やらがあってその酸素が物質と結びつく時に発生するのが火で云々かんぬんなどと説明したところで理解できないだろう・・・。どう説明したものか・・・。


「えーっと、メリーナ。火ってどういうものだと思う?」

「え?どういうものって、うーん?」


首を傾げるメリーナ。あざと可愛い。いや、7歳児だからあざとさは無いはずだけど。・・・無いよな?


「モノが燃えると火が起きる。メリーナの魔法の場合は魔力を燃やしてると思うんだけど・・・、その感覚はある?」

「えっと、うん。あるよ。魔力と何かがぶつかってブワッてなるの。」

「それだ。その何かっていうのがモノが燃えるのに必要なんだけど、今はその必要な何かと必要じゃない何かが混ざってる状態だと思うんだ。わかるかな・・・。」

「んー、なんとなく・・・?」

「とりあえず、これから魔法を使うときはその何かを意識してやってみて。燃えるのに必要な何かだけを集めるかそこに魔力をぶつけるようにするかが出来ればもっと効率良く火魔法が使えるようになるはずだよ。」

「わかった!やってみる!」


俺の説明が通じたかどうかは分からないが、メリーナは探り探り魔法を使い始めた。俺はそれを横目に見ながら自分のレベル上げに勤しんだ。


『《剣の心得》がレベルアップしました。《剣体の扱い》がレベルアップしました。』


程なくして、二つの恩寵のレベルが上がったと頭の中に声が響いた。


「俺の方は、しばらくこの方法でレベル上げ出来るかな。」


それからも派手な火魔法で訓練するメリーナの傍らで、地味なレベル上げを続けた。

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