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魔王との決戦 ⑤

説明回

 DCOがそんな状態だったから僕は改めてDCOにさっきと同じ内容を伝えた。あと、余計なことは喋るなとも注意した。ま、DCOにしてみれば何を注意されてるのか訳が分からなかったかもしれないが。




* * * * * *




 ん、戻った?


「これで誰が ≪リセット≫ をしても僕とMJKだけは粗方事情を・・・・・・」


 戻ってるな。じゃ、≪セーブ≫ っと。


「なあ、とりあえずみんなに伝えるぜ?」

「DCO・・・・・・」

「お~い、みんなぁ! 聞いてくれぇ!」

「すっげえ、鳥肌立った」

「あ? なに言ってんの」

「いや、これからDCOにお願いしようとしてたことがあったんだが、まだ僕がお願いしていないにもかかわらず、DCOはそのお願いをまさにいま実行しようとしているんだ」

「なにそれすごいじゃん・・・・・・って、≪リセット≫ か!」

「おそらくそうだろうな」


 GLOの野郎、一体なんだってんだ? さっきまでオレになんだかよく分からん説教を喰らわせてたと思ったら、今度は当たり前のことで驚いてやがる。GLOがそうしろって言ったからやってんのに、しかもそれをこの時点のGLOは知ってるはずなんだぜ? アホなのはGLOの方じゃねえか。


 GLOのことはさておき、オレはまだ ≪リセット≫ と ≪セーブ≫ のことを知らないみんなに現状を説明した。オレ達が対魔王の戦力として召喚されたこと、隣で魔王と正義の味方達が戦っていること、等々。当然、何人かは困惑したり不平を漏らしたが、現実を直視してもらうためにステータスをオープンさせてステータスウインドウを見せてやる。これでみんなここが異世界だと実感するはずだ。


 実際、感嘆の声、諦めの声がみんなから漏れた。


 すかさず「【特技】の ≪リセット≫ は使うなよ」とみんなに注意して、リセットカウンターのことも教える。


「ステータスオープン」


【氏名】DCO

【性別】男

【年齢】15歳

【職業】武術家

【レベル】1

【HP】16/16

【MP】2/2

【力】15

【体力】14

【素早さ】9

【賢さ】4


【特技】≪リセット≫ ≪セーブ≫


◆リセット 51

◆セーブ 43


「いまの ≪リセット≫ 回数が51、≪セーブ≫ 回数が43だ。このカウンターはおそらくクラス全体で共有していて、例えばいま誰かが ≪リセット≫ を使えば回数は52に増えるけど、その回数の更新は ≪リセット≫ を使ったヤツのカウンターにだけじゃなく、みんなのカウンターにも同じように反映されるわけ。みんなのカウンターに同じように52って表示されることになるんだ。分かる?」

「ようするにそのカウンターが52になってたら誰かがリセットを使ったってことになるってわけね。それは分かったけど、≪リセット≫ ってどんな感じなの?」


 みんなに ≪リセット≫ を使うなという指示が行き渡ったと思われたところで、GLOから教えられた ≪リセット≫ と ≪セーブ≫について説明した。


■リセットとセーブについて


 使用者【甲】が ≪リセット≫ を使った場合、不特定の誰かが ≪セーブ≫ した時点【A】に戻り、そのときは使用者【甲】のみ【A】以降の経験(記憶や体験)を引き継ぎ、他の人は ≪リセット≫ されたことにさえ気付かず【A】以降の経験を全て失った状態になる。経験を引き継いだ【甲】についても、その後に他の人が ≪リセット≫ をして【A】に戻った場合は【A】の時点の【甲】に戻ることになるので、自ら ≪リセット≫ したときに引き継がれた経験は失われることになる。


 そこで、経験の消失を防ぐために ≪セーブ≫ を使う。≪リセット≫ した直後に ≪セーブ≫ を使い、新たに ≪セーブ≫ した時点【B】を作り出せば、【B】において【甲】は【A】以降の記憶を引き継いだ状態なので、その後に他の人が≪リセット≫を使っても【A】以降の経験を保持し続けることができる。


 ただし1度【B】を設定してしまうと2度と【A】には戻れない。だから、使いどころを間違えないように注意が必要だ。


 以上のような内容について話し終えたところで、「一応、いま ≪セーブ≫ したよ」と背後からGLOの声がした。振り返ってみるとGLOはとても満足したというような顔をしてたんだ。そうだよな。GLOはこのことをみんなに伝えようとして孤軍奮闘してたんだから。これで誰が ≪リセット≫ を使ってもみんなの認識に大きな隔たりが生じることはなくなったってわけだ。


「DCO、あとは任せた。あとは好きにしてくれ」

「ええ? 何言ってんだよ。次どうするかGLOの意見を聞かせてくれよ」

「そうだよ。HP1の死に掛けだからって実際にはピンピンしてんだし何でもできるでしょ?」

「そうだな。だが、正直な話この絶望的な状況をどうやって打開するか、僕の頭じゃまったくアイデアが出てこないんだ。ここまでは最低限、絶対に必要なことだと思ったからやってこれただけ。だからここからは・・・・・・、そうだな、僕はあの召喚師とメイドの2人と話して攻略の糸口がないか探してみるとするさ」


 うん、そういう役割がGLOには合ってる気がするし、異存はない。でも、魔王なんてどうすりゃいいんだ?


「ねえ、誰かチートとか持ってないの?」

「おうそうだよ。ステータス見てあからさまに強かったヤツは自己申告しろよ」


 パッパラP子(以下PPK)が尋ねると、続いてCCOがそう言った。強かったヤツって言っても最初はみんなレベル1だし強さに差なんてほとんどないんじゃないか?


 シ~ン・・・・・・。やっぱり誰も申告しない。


「いないのかぁ」


 そう言うPAOの声音はいつもながらにおっとりしている。PAOはどんなときでもマイペースというか喋り方に焦りや危機感がないんだよな。


「なんなの? 勇者様達ったら全然動かないんだけど。早く加勢してくれなきゃウニュトラマンとラーメンライダーがやばいかも」

「むぅ、作戦会議でもしてるんだろうけど、良い案が浮かばないのかな?」


 召喚師達がオレ達のことを話し合っている。勇者様と言っているから、召喚師達はオレ達に勇者としての活躍を期待してるんだろうけど、無理だよね。

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